ビタミンDとピロリ菌

(2019年6月) "Journal of Digestive Diseases" に掲載された中国の研究によると、ビタミンDがピロリ菌の感染や完治に影響する可能性があります。
タイトル: Influence of serum vitamin D level on Helicobacter pylori eradication:a multi‐center, observational, prospective and cohort study
著者: Chuan Han et al.

ピロリ菌について

ピロリ菌(Helicobacter pylori)は感染者の一部において胃ガンや胃潰瘍の原因となります。 人類の50%以上がピロリ菌に感染していますが、感染者の90%は無症状です。

研究の方法

ピロリ菌の感染者496人と非感染者257人を対象に、ビタミンD血中濃度を調べたり、ビスマスを含む4剤併用根治療法(bismuth-containing quadruple eradication therapies)によるピロリ菌感染症の治療を14日間行ったのち4~8週間が経過してからのピロリ菌感染症完治率を調べたりしました。

結果

感染者と非感染者でビタミンD血中濃度に差

ビタミンD血中濃度の平均が、ピロリ菌の感染者では17ng/mLだったのに対して、非感染者では19ng/mLでした。 両者の差は統計学的に有意でした。

ビタミンD血中濃度とピロリ菌感染症の根治率

またピロリ菌感染症の根治療法の成果に関しては、ビタミンD血中濃度が10ng/mL未満の患者では根治率が72%だったのに対して、10ng/mL以上のグループでは87%でした。 両者の差は統計学的に有意でした。 ビタミンD血中濃度が10ng/mL以上であるとピロリ菌感染症の根治療法が失敗するリスクが62%低いという計算になります。

ただし、ビタミンDの補給がピロリ菌感染症の完治に有効かどうかを今後のランダム化比較試験で確認する必要があります。