トウガラシの摂取量が多い人は記憶力が衰えやすかった

(2019年5月) "Nutrients" 誌に掲載されたカタール大学などによる研究で、トウガラシの摂取量が多い人は記憶力が衰えやすいという結果になりました。

研究の方法

中国人男女 4,852人(平均年齢63才)を対象に、1991~2006年にかけて食生活を調べつつ、認知機能テストを電話を介して4回(1997年、2000年、2004年、2006年)にわたり行いました。 認知機能の調査を2回以上受けたのは 4,852人中 3,302人でした。

結果

トウガラシの摂取量が多いと認知機能が低いという関係が見られました。

トウガラシを摂取しないグループに比べてトウガラシを50g/日(*)を超えて摂取するグループでは、記憶力が悪いリスクが112%および記憶力が低下するリスクが56%増加していました。

こうしたトウガラシ摂取量と記憶力との関係は、BMIが高い場合よりも低い場合に顕著でした。

(*) 50g/日は多いように思いますが、乾燥させたトウガラシだけでなく生のトウガラシも含みます。 ただし、シシトウガラシやピーマン(sweet capsicum)は含みません。 コショウ(black pepper)も含みません。

ただ、50g/日という摂取量はやはり多いようで、研究グループは「欧米諸国では一般的な摂取量ではない」と述べています。

解説

以下は、今回の論文の Discussion のセクションに記載されている内容です:

過去の類似研究に40才以上の中国人338人を調べたものがありますが、その研究(横断研究)ではチリをよく食べる人は認知機能が良好でβアミロイド(アルツハイマー病患者の脳に蓄積が見られる)の血中濃度も低いという今回とは逆の結果になっています。 また、動物実験では、辛さが中程度以上のトウガラシでネズミの記憶力悪化が阻止されたという研究があります。

その一方で、ネズミにカプサイシンを投与するとBDNF(*)が当初は増加したものの4週間後には減少したという研究もあります。 また、カプサイシンが神経毒ではないかとする研究がいくつか存在するほか、感覚神経を化学的に麻痺させる手段として高用量のカプサイシンを用いた研究もあります。
(*) 脳由来神経栄養因子。BDNFは脳神経の生存・増殖・分化ひいては学習記憶力にとって重要な物質(タンパク質)です。
トウガラシがどのように認知機能に影響するのか詳しいメカニズムは不明ですが、トウガラシの食べ過ぎがニューロンの生存に悪影響を及ぼして認知機能を低下させるという可能性が考えられます。 ただし、現時点では不明な部分が多過ぎるので今後の研究が必要です。