ビタミンB6摂取量と心臓病や脳卒中のリスク

(2019年6月) ビタミンB6摂取量と心血管疾患(心臓病や脳卒中)になるリスクの関係を調査した韓国の研究が "Nutrients" に掲載されています。

研究の方法

40~69才の男女 9,142人を対象に、ビタミンB6の摂取量などをアンケートで調査したのち、平均7.4年間にわたり心血管疾患(CVD)の発生状況を追跡調査しました。

結果

男性では、サプリメントの使用も考慮した分析で、ビタミンB6摂取量が最大(1)の場合には最少(2)の場合に比べて、CVDになるリスクが56%低下していました。

(1) 2.40–6.21 mg/日 (中央値 2.62 mg/日)

(2) 1.01–1.83 mg/日 (中央値 1.70 mg/日)

女性ではビタミンB6摂取量とCVDリスクとの間に関係が見られませんでした。

男性では、ビタミンB6摂取量が1.9mg/日を超える辺りから、摂取量が多いほどCVDリスクが低下していました(下のグラフ)。

解説

ビタミンB6は抗酸化物質であり、脂質過酸化物の生産を抑制したり、ホモシステインを減らしたり、炎症を緩和したりすることでCVDのリスクを低減させる可能性があります。

しかし、ビタミンB6摂取量とCVDリスクとの関係を調べたこれまでの研究の結果は一致していません。 ビタミンB6摂取量が多いとCVDリスクが低いという結果になったものと、両者の間に関係が見られないという結果になったものが混在しています。

女性ではビタミンB6摂取量とCVDリスクの間に関係が見られなかった理由として研究グループは、「ホモシステイン血中濃度の男女差やビタミンB6・エストロゲン(女性ホルモン)・ホモシステインの複雑な関係が関わっている可能性がある」と述べています。

ホモシステインとビタミンB6

ホモシステインはメチオニンがシステインへと変換されるときに生じるアミノ酸で、体内に蓄積すると酸化ストレスを増大させます。

ホモシステインが多い人はCVDのリスクが高いことが、前向きコホート研究(横断研究やケース・コントロール研究よりも信頼性が高い)ばかりを用いたメタ分析で示されています。 このことから、ホモシステインはCVDのリスク要因であると考えられます。

そして、過去の研究に、ビタミンB6摂取量が多いとホモシステイン血中濃度が低いことを示すものが1つあります。

研究グループによると、ビタミンB6はホモシステイン血中濃度を調節することによって直接的に、および抗酸化物質グルタチオンの前駆体であるシステインの生産を調節する(*)ことによって間接的に、CVDのリスクを引き下げてくれるのかもしれません。

(*) 今回の研究論文に「ビタミンB6はホモシステインからシスタチオニンおよびシステインへの含硫基移動において、シスタチオニンβシンターゼおよびシスタチオニンγシスタチオナーゼの補助因子として作用する(In addition, vitamin B6 acts as a cofactor of cystathionine β-synthase and cystathionine γ-cystathionase in the trans-sulfuration of homocysteine to cystathionine and cysteine)」という謎の呪文めいた一文があるのですが、それが「ビタミンB6がシステインの生産を調節する」の説明に当たるのかもしれません。

まあ、これだけではあまりにもアレなのでめんどくさかったのですが検索してみると、山田養蜂場のサイトに、「ホモシステインは、葉酸、ビタミンB6、およびビタミンB12の代謝に関係するいくつかの酵素によって再びメチオニンへ転換され...」という一文がありました。

上述の「メチオニンがシステインへと変換される」という情報と併せると、メチオニン → システイン → ホモスシステイン → メチオニン... というサイクルがあって、そこでビタミンB6が必要とされるということなのでしょうか。

山田養蜂場のサイトの記事は兵庫県西宮市にある武庫川女子大学の研究者が監修していますね。 西宮の海釣り公園まで自転車でサイクリングに出かけるときに、いつも武庫川女子大学の前を通ります。 武庫川女子大学はもっと北のほうの武庫大橋(2号線)沿いにもキャンパスがあるのですが、こっちの建物は新しくてきれいなので前を通るたびに欲しくなります。