ビタミンEの血中濃度と死亡リスクの関係。 サプリは効果なし? それじゃあどうすればいいの...?

(2019年6月) "Circulation Research" 誌に掲載されたフィン米(*)の研究で、αトコフェロール(ビタミンE)の血中濃度と死亡リスクの関係が調査されています。
(*) 「フィンランドと米国」の意で用いられる言葉。

研究の方法

フィンランドで行われた "ATBC Study" と呼ばれる試験(*)のデータを用いて、喫煙者男性 29,092人のαトコフェロールの血中濃度と30年間における死亡リスクとの関係を調べました。
(*) 被験者を次の4つのグループに分けた: ①ビタミンE(dl-α-トコフェロール酢酸エステル)を50mg/日、②βカロテンを20mg/日、③ビタミンE&βカロテン、④偽薬。

結果

大部分が死亡

追跡期間中に、23,787人もが死亡しました。 29,092人のうちの 23,787人ですから、大部分が死亡したといっても過言ではありません。

しかし、これは驚くには当たらないのかもしれません。 男性たちは追跡開始の時点で50~69才で、それを30年間も追跡したのですから。

男たちの死因は、心血管疾患(心臓病や脳卒中)が 9,867人、ガンが 7,687人、呼吸器疾患が 2,161人という具合でした。

死亡リスク

ビタミンE血中濃度に応じて5つのグループに分けた中で血中濃度が最低だったグループに比べて、他の4つのグループでは次のように死亡リスクが低下していました:
  • 最高: -17%
  • 2番目: -21%
  • 真ん中: -25%
  • 下から2番目: -22%

死因別に見ても、ビタミンE血中濃度が高いと死亡リスクが低下していました(最低と最高の比較で17~47%のリスク低下)。

喫煙量・喫煙期間・飲酒量・試験でのサプリメント服用などの別に分析しても同様の結果となりました。

ビタミンE血中濃度が高いと死亡リスクが低いという関係は、若い男性やBMIが低い男性で強固でした。

留意点

研究グループは「もっと色々な層の人たちで今回と同じ結果となるかどうかを調べる必要がある」と述べています。 今回の研究は男性喫煙者に限られていますから、非喫煙者や女性、そして他の人種でどうであるかを調べる必要があるというわけです。

ビタミンEサプリメントの是非

今回の研究の母体となった "ATBC Study" では、ビタミンEサプリメントを服用したか否かと試験中および試験後の死亡リスクとの間には関係が見られませんでした(研究開始当初のビタミンE血中濃度と死亡リスクの間には関係が見られたが、肝心のビタミンEサプリの死亡リスクへの効果は見られなかった)。

これまでの他の研究でも、ビタミンEサプリメントに死亡リスク低下の効果はなさそうだという結果になっています。 服用量が多い(400IU/日以上)場合には有害となる恐れすらあります。

今回の研究グループは次のように述べています:

「これまでの研究の結果を総合的に見ると、ビタミンEサプリメントを飲んで血中濃度を上げるよりも食事からビタミンEをしっかりと摂る(大量に摂るというよりもビタミンEが極端に不足しないようにする)のが良いと思われる(Taken together, the totality of evidence supports a beneficial role in long-term health outcomes for higher diet-based vitamin E status within the physiological range, and particularly, the avoidance of very low serum α-tocopherol concentrations, rather than the improvement of vitamin E status through supplementation)」

「ビタミンE血中濃度は高いのが良いのにビタミンEサプリメントは有益どころか有害となりかねないのには複数の要因が関係しているかもしれない。 ビタミンEが豊富な食品には他にも様々な成分も含まれているので、それらが組み合わさって複数の代謝経路に対して長期的に作用することで死亡リスクに影響している可能性が考えられる。 ビタミンEサプリメントの試験では一般的に、αトコフェロールを単体または他のビタミン類と組み合わせて高用量で比較的短い期間で投与する。 つまりビタミンEを食事から摂るときに比べて、ビタミンE以外の成分を摂らないし摂取期間も限られているのだ。 さらにサプリメントは、恒常的代謝に異常を引き起こす恐れもある。(The apparent difference in health effects of higher biochemical status (benefit) versus vitamin E supplementation (no benefit or possible harm) could be due to more than one factor. Vitamin E-rich foods contain a wide range of bioactive substances whose combined long-term effects on multiple metabolic pathways may be required to impact mortality. Supplementation trials have generally tested high-dose α-tocopherol singly or with some other specific vitamins for relatively short periods, which replicates neither the complex dietary vitamin E intake exposure nor its life-long chronicity; it also introduces potential pharmacological disruption of normal homeostatic metabolism.)

ビタミンEが豊富な食品

ビタミンEは、ヒマワリ油・大豆油・パーム油・アーモンド・米油・マンゴー・かぼちゃ・ピーナッツなどの植物性食品に豊富に含まれています。

ビタミンEはトコトリエノールとトコフェロールの2種類に大別され、トコトリエノールとトコフェロールのそれぞれにα・β・γ・δの4種類があり(計8種類)、食品によってどのタイプのビタミンEが豊富なのかが異なります(参考グラフ)。

トコトリエノール

ビタミンEは人体では主にαトコフェロールの形で存在しますが、トコフェロールよりもトコトリエノールのほうが健康効果が高いという話もあります。

例えば 2007年に発表された "Tocotrienols in health and disease..." というレビューには次のようにあります:

「自然に存在するトコトリエノールにはトコフェロールには見られにくい強力なコレステロール低下・抗ガン・神経保護作用がある。(The tocotrienol forms of natural vitamin E possesses powerful hypocholesterolemic, anti-cancer and neuroprotective properties that are often not exhibited by tocopherols.)」

「トコトリエノールが豊富なのはパーム油と米ぬか油である。 経口摂取したトコトリエノールは全ての臓器が利用可能である。(Palm oil and rice bran oil represent two major nutritional sources of natural tocotrienol. Taken orally, tocotrienols are bioavailable to all vital organs.)」