運動の抗ガン効果(レビュー)

(2019年5月) マウント・サイナイ医療センター(米国)などの研究グループが運動などの身体活動の抗ガン効果についてまとめたレビューを "Complementary Therapies in Medicine" 誌に発表しています。
著者: Diego Lugo et al.
タイトル: The effects of physical activity on cancer prevention, treatment and prognosis: A review of the literature

レビューの概要

  1. 世界保健機構(WHO)によると、ガンが関与する死亡の35%が自分でどうこうできる要因(生活習慣など)によるものであり、そうした要因の中でも最も重要なのが身体活動の不足および肥満である。
  2. 身体活動とガンの関係を調べたこれまでの研究に目を通したところ、身体活動の習慣がある人は最も一般的な悪性腫瘍のうちのいくつか(結腸・乳・肺・子宮内膜のガンなど)になるリスクが低いことが報告されていた。
  3. 身体活動には、乳ガンや結腸ガンの患者の死亡リスク(総死亡リスクとガンによる死亡リスク)を低下させる効果もあるように見受けられた。
  4. 身体活動はさらに、ガンの治療を受けている患者の機能状態や生活の質を改善する効果も期待できる可能性がある。
  5. ただし、既存のエビデンスの大部分が観察研究に限られている。(ランダム化比較試験で身体活動のガンに対する効果を確認するのが望ましい)
  6. 運動(*)は様々な悪性腫瘍の予防・死亡リスク低減・生活の質改善に役立つと思われるので、医療機関はガン患者と計画的な身体活動の実施について検討することが大切である。

(*) "structured physical activity" を訳したもの。

検索しても "structured physical activity" という言葉の定義は見つからず、次のような説明が見つかったのみでした:

"Exercise is a planned, structured physical activity which aims to improve one or more aspects of physical fitness(運動とは、計画的な structured な身体活動であって健康の1つあるいは複数の側面の改善を狙うものを意味する)"

上の説明はご覧のように、"structured physical activity" の説明ではなく、"exercise" の説明に "structured physical activity" という言葉を使っているに過ぎません。 しかも、"a planned, structured physical activity" という書き方からして、"structured physical activity" が3語だけで結束した言葉として存在しているのでもなさそうです("planned" が "structured" と同等に扱われている)。

"structured physical activity" は学校教育の用語としてなら「教師の監督の下で行う計画的な運動」みたいな定義が見つかりました(対立する概念は「休み時間に友達と遊ぶなどの身体活動」)が、それ以外では定義は存在しないのかもしれません。

学校教育用語ではない "structured physical activity" は「所定の運動メニューにしたがって行う運動」という感じの意味でしょうか。

(この部分の所要時間30分。 まさか読み飛ばした人はいませんよねえ?)