心身が不調の高齢者にビタミンDのサプリを投与してみた

(2019年7月) "The American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたオランダの研究で、ビタミンDが不足気味の高齢者にビタミンDを1年間投与しても鬱症状の緩和や身体機能の改善に効果がなかった。

研究の方法

60~80才(平均68才)の男女155人を被験者とするランダム化比較試験において、155人を2つのグループに分けて一方のグループにのみ1年間にわたりビタミンDの錠剤を 1,200IU/日(この手の試験の服用量としては多くない)服用させた。

被験者はいずれも、抑鬱(そうひどくはない)が生じていて、日常活動(*)に1つ以上支障をきたしていて、ビタミンD血中濃度が15nmolから50nmol(冬季)または70nmol(夏季)だった。
(*) 階段の昇降、爪を切る、戸外で5分間休むことなく歩き続ける、椅子から立ち上がる、衣服の脱着を独力で行う、自前の交通手段(たぶん自転車や自動車)を使うか公共交通機関を利用する。

結果

ビタミンDのサプリンメントでビタミンD血中濃度は上昇したものの、抑鬱や身体機能への効果は見られなかった。

解説

研究グループは次のように述べている:

「これまでの観察研究では一貫して、ビタミンD血中濃度とさまざまな健康状態との間に関係の存在することが報告されている。 しかし(今回の試験も含めて)臨床試験ではそうでもない」

「したがって、ビタミンD(の不足)は病気の原因ではなく健康や炎症の状態のマーカー(指標)である(*)可能性が高い」
(*) 今回の研究論文に参考文献として挙げられている論文によると、例えば、病気になったり病気が進行したりする過程で生じる炎症プロセスによりビタミンD血中濃度が低下する。