生活習慣とアルツハイマー病(レビュー)

(2019年6月) テキサス工科大学の研究グループが生活習慣とアルツハイマー病(AD)についてまとめたレビューを "Journal of Alzheimer's Disease" に発表しています。

レビューの概要

ADについて

  1. ADは記憶力など認知機能の複数の面に問題が生じる進行性の神経変性疾患である。 残念なことに、ADを予防したりADの進行を遅らせる薬は未だ存在しない。
  2. AD患者における認知機能の低下は、シナプスの喪失や損傷との間に大きな関係が見られる。
  3. ADになりやすいのは女性で、AD患者の2/3が女性である。
  4. APP・PS1・PS2といった遺伝子の突然変異に起因するAD患者は1~2%に過ぎないと推算される。 遅発性(65才以降に生じる)ADのリスク要因として特定されているのは、アポリポたんぱく質E4遺伝子のタイプ/2型糖尿病/脳の外傷/抑鬱/ホルモン・バランスの乱れなどである。
  5. 抗酸化物質が豊富な食生活や運動習慣が高齢者において、①毒性のラジカルを低減したり、②ミトコンドリア機能とシナプス活動を向上させたり、③認知機能を改善したりするという強固なエビデンスが存在する。

ADと生活習慣

  1. 今回のレビューでは、マウスや高齢者やAD患者で抗酸化物質のAD抑制効果を調べた既存の研究のデータに目を通した。
  2. その結果、健康的な食生活(1)・運動習慣(2)・生活習慣(3)の改善が、①認知症(大部分をADが占める)の進行抑制、②ADの予防、および③軽度認知機能障害(MCI)の回復(認知機能が正常な水準に戻る)に有効かもしれないという結論に至った。 ただし、この結論を鵜呑みにしてはならない(鵜呑みにするにはエビデンスが不十分)。

    (1) 健康的な食生活の代表例として研究グループはメディテラネアン・ダイエットを挙げている。 これまでに複数の疫学的研究や臨床研究で、メディテラネアン・ダイエットが神経変性疾患の予防に有効である可能性が示されている。

    (2) ウォーキングなどの有酸素運動や筋力トレーニング。

    (3) 食生活と運動習慣以外に何があるのか具体的には言及されていない。
  3. 抗酸化物質(ビタミンEなど)のサプリメントは、高齢者におけるADの予防や認知機能の改善には効果が期待できるかもしれないが、複数のランダム化比較試験の結果からするとAD患者の進行抑制に効果が無いようである。