腸内細菌バランスの乱れが乳ガンの転移を促進する恐れ

(2019年6月) "Cancer Research" 誌に掲載されたバージニア大学などの研究(マウス実験)によると、腸内細菌バランスの乱れに起因する腸の炎症が乳ガンの転移を促進してしまう恐れがあります。出典: Unhealthy gut promotes breast cancer's spread, study finds

研究の概要

ホルモン受容体陽性(HR+)(*)の乳ガンを抱えるマウスに抗生物質を投与して腸内細菌叢を掻き乱したところ、乳ガンの侵攻性が増して乳ガンが広がりやすくなったのです。
(*) 女性ホルモンであるエストロゲンまたはプロゲステロンにより成長が促進されるタイプの乳ガン。 HR+乳ガンはホルモン療法が効きやすい。 HR+乳ガンは乳ガン全体の65%を占める。
研究者は次のように述べています:

「マウスに抗生物質を長期にわたり投与して腸内細菌バランスを乱すと、全身および乳腺組織に炎症が生じました。 そして、この状態になると腫瘍細胞が組織から散らばって血流や肺へと格段に入り込みやすくなりました。 血流や肺はHR+の乳ガンが転移する主要な場所です」

原文 "In this inflamed environment, tumor cells were much more able to disseminate from the tissue into the blood and to the lungs, which is a major site for hormone receptor-positive breast cancer to metastasize."

マクロファージとコラーゲン

乳ガンが発症する前に腸内細菌叢が不健康であると、(乳ガン腫瘍の)組織内におけるマクロファージ(免疫細胞の一種)とコラーゲンの量が増加していました。 マクロファージやコラーゲンの量は、初期の(乳ガンの)転移リスクが増加する要因の1つです。 不健康な腸内細菌叢がマクロファージやコラーゲンの増加に及ぼす影響は強く、そして持続的でした。

研究者からのアドバイス

研究者は次のようにアドバイスしています:

「(健やかな腸内細菌バランスを育むには)食物繊維をたっぷりと摂る健康的な食生活、それに運動習慣、睡眠が大切。 要は、健康全般に有益とされる生活習慣ってことね。 理論的にはそれで健康な腸内細菌叢を維持できるはず。 そうして健康な腸内細菌叢を維持していれば乳ガンの長期的な予後にも大いに貢献してくれることでしょう」

原文 "A healthy diet, high in fiber, along with exercise, sleep — all of those things that contribute to positive overall health," she said. "If you do all of those things, in theory, you should have a healthy microbiome. And that, we think, is very much associated with a favorable outcome in the long term for breast cancer."

抗生物質はトモダチ

研究者はさらに「今回の研究では抗生物質でマウスの腸内細菌を掻き乱したけれども、抗生物質は決して危険なものではないので必要とあらば使用を躊躇すべきではない」とも述べています。 抗生物質を普通に使っただけでは、今回のマウスのような状態にはなりません。