身体活動とクモ膜下出血のリスク。 身体活動のタイプによっては逆に... 非喫煙者では...

(2019年6月) "Scientific Reportsvolume" に掲載されたフィンランドの研究で、身体活動の習慣がある人は動脈瘤性くも膜下出血(SAH)のリスクが低いという結果になりました。

動脈瘤性くも膜下出血について

「動脈瘤性くも膜下出血」という名前から察するに、脳の動脈瘤を原因とするクモ膜下出血なのでしょう。 日本医科大学武蔵小杉病院によると、くも膜下出血の原因となる病気としては脳動脈瘤が最も多いそうです。

今回の研究グループによると、動脈瘤性くも膜下出血(SAH)は致死率が40%という恐ろしい病気です。 SAHの発生においては生活習慣が主要なリスク要因です。 喫煙・高血圧・加齢がリスク要因として確定しているほか、血中脂質(コレステロールなど)値に問題がある場合や女性である場合にもSAHのリスクが増加する恐れがあります。

研究の方法

フィンランドに住む男女 65,521人(平均年齢45才)を対象に、余暇に行う身体活動(LTPA)・労働において生じる身体活動(OPA)・通勤における身体活動(CPA)を調査したのち平均23年間にわたり追跡調査しました。

結果

追跡期間中に543件のSAHが発生しました。

LTPA

LTPA(ウォーキング・水泳・自転車・ジョギングなど)に費やす時間が30分/週増えるごとに、SAHのリスクが5%低下していました(ただし 95% CI = 0.90–1.00 と統計学的な有意性は微妙)。

LTPAが多いとSAHリスクが低いという関係は年齢層を問わず見られましたが、高血圧や喫煙習慣の有無の別に見ると、これらを免れている人ではLTPAがあってもSAHリスクは下がっていませんでした。

喫煙習慣別に見ると、喫煙者でのみLTPAとSAHリスクの関係が統計学的に有意でした。 喫煙者ではLTPAが30分/週増えるごとに12%のリスク低下でした。 グラフを見ると、非喫煙者ではLTPAのSAHリスク低減効果は期待できないようです。 過去に喫煙習慣があった人でも、LTPAとSAHリスクの関係は統計学的に有意ではありませんでした(グラフで棒線が1.00のラインをまたいでいる)。

高血圧の有無の別に見ると、LTPAとSAHリスクとの関係が有意なのは高血圧を抱えている場合だけでした(上に張ったリンク先のグラフを見るとリスク低下幅は7%)。

CPA

CPA(徒歩とか自転車とか)に費やす時間が多い場合にも同様にSAHのリスクが低下していましたが、定年退職を迎える年頃以降にはCPAとSAHリスクとの関係は減じられました(グラフを見ると、50才以降は統計学的な有意性がない)。
定年退職で通勤時間が無くなったり減ったりするから関係が減じられるわけではないでしょう。 年をとると通勤で身体活動が発生していてもSAHのリスクが低下しなくなったということであるはず。

OPA

OPAの量が多い場合には、SAHのリスクが低下するどころか増加していました。

OPAの量が中程度の水準にある(歩行量は多いが重たいものを持ち上げはしない)場合には41%および高水準にある(歩行量が多いうえに重たいものを持ち上げたり階段を登ったりする)場合には34%、それぞれSAHのリスクが増加していました。 ただし、高水準の場合には 95% CI = 0.99–1.81 と統計学的な有意性は微妙でした。