運動内容と老化関連タンパク質「クロトー」の増えっぷり

(2019年6月) グラナダ大学(スペイン)の研究グループが運動の種類によってクロトーたんぱく質の血中濃度の増加幅がどう異なるかを調べた結果を "Journal of Sports Sciences" に発表しています。
タイトル: Exercise training increases the S-Klotho plasma levels in sedentary middle-aged adults: A randomised controlled trial. The FIT-AGEING study
著者: F. J. Amaro-Gahete et al.

クロトーについて

クロトーは20年ほど前にアンチエイジング効果を有するタンパク質として特定されました。 その後の研究で、クロトーたんぱく質を作り出すクロトー遺伝子が特定され、クロトー遺伝子が活発な人は寿命が長いことも明らかになりました。 動物実験でも、クロトー遺伝子が欠如していると寿命が短くなったり加齢性疾患にかかりやすくなったりすることが示されています。

クロトーたんぱく質はこれまでに3種類が発見されています。 そのうちの1つであるαクロトーには、膜結合型αクロトーと膜結合型αクロトーから生じ血流中に存在する可溶性クロトー(Sクロトー)の2種類があります。 Sクロトーの血中濃度が高いと死亡リスクが低いというデータがあります。

研究の方法

ランダム化比較試験において、これといった身体活動の習慣を持たない中年男女74人(平均年齢53才、53%が女性)を次の4つのグループに分けて12週間を過ごしてもらいました:
  1. それまでの怠惰な生活を続けるグループ。
  2. WHOが推奨する身体活動の水準(*)を維持するグループ
    (*) たぶん、「中程度の激しさの身体活動を週に150分以上」とかいう例のアレ。「身体活動」となっているが内容はおそらく「運動」。
  3. HIIT(高強度インターバル・トレーニング)を行うグループ
  4. HIITに加えてEMS(電気筋肉刺激法)を行うグループ

そして、この12週間の前後でSクロトーの血中濃度を測定しました。

結果

運動(exercise training)をしたグループではSクロトー血中濃度が増加していました。 ただし、運動内容の違いによる血中濃度の差は見られませんでした。

また、12週間のうちに体脂肪量が増えるとSクロトー血中濃度が減り、除脂肪量(筋肉量)が増えるとSクロトー血中濃度も増えるという関係が見られました。

研究グループは「運動をしたグループでSクロトー血中濃度が増加していたのは、運動で体脂肪量が減ったり筋肉が増えたりしたからかもしれない」と述べています。