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レスベラトロールとは

レスベラトロールとは

レスベラトロールは脂溶性(食用油と一緒に摂取すると吸収されやすい)ポリフェノールの一種で、様々な健康効果があると考えられています。 レスベラトロールを発見したのは日本人で、1939年に高岡道夫という人が梅蕙草(バイケイソウ)という薬草(毒草でもある)から分離しました。

レスベラトロールを含有する食品

レスベラトロールを豊富に含む食品は、ブドウの皮や、赤ワイン、ピーナッツ、ブルーベリー、ダーク・チョコレートなどです。 日本などの東アジアに自生しているイタドリ(痛取)という植物(根が「虎杖根」という漢方薬になる)にも多く含まれています。

ブドウの皮に含まれるレスベラトロールの量は、ブドウの品種や、産地、カビ感染の度合い(植物がカビや細菌に対抗してレスベラトロールを生産するので)により異なります。 また同じワインでは、白ワインやロゼよりも、ワイン生産時におけるブドウの皮との接触時間が短い赤ワインに多量に含まれます。 ブドウジュースも、濃い色のものの方がレスベラトロールを多く含んでいます。

<レスベラトロールの含有量>
飲み物の場合
1リットルあたりの含有量
(mg/1L)
グラス一杯あたりの含有量
(mg/150cc)
白ワイン(スペイン産) 0.05-1.80 0.01-0.27
ロゼ・ワイン(スペイン産) 0.43-3.52 0.06-0.53
赤ワイン(スペイン産) 1.92-12.59 0.29-1.89
赤ワイン 1.98-7.13 0.30-1.07
赤ぶどうジュース(スペイン産) 1.14-8.69 0.17-1.30

食べ物の場合

1カップの量 1カップあたりの含有量(mg)
ピーナッツ(生) 1カップ(146g) 0.01-0.26
ピーナッツ(ゆで) 1カップ(180g) 0.32-1.28
ピーナッツ・バター 1カップ(258g) 0.04-0.13
赤ぶどう 1カップ(160g) 0.24-1.25

レスベラトロールの効能

フレンチ・パラドックス

「フレンチ・パラドックス」という言葉をご存知でしょうか? 「フレンチ・パラドックス」とは、フランス人の食事には飽和脂肪酸やコレステロールをたっぷり含む食事(例えばフォアグラやクロワッサン)が多いのに、フランス人には心臓病が少ないという現象のことです。

この現象がレスベラトロールによるものではないかという仮説が存在します。 フランス人が多飲する赤ワインに心臓病予防効果があるのではないかというのです。 しかし、最近ではこのような考えは否定されつつあり、代わって「飽和脂肪酸が心臓病のリスク要因として従来考えられていたほど大きくないに過ぎない」という考え方が主流になっています。

期待される効果

レスベラトロールは植物エストロゲン(女性ホルモンであるエストロゲンに似た働きをする)です。 同じく植物エストロゲンである大豆に心臓病やガンを予防する効果があると考えられていることから、レスベラトロールにも同じ効果が期待されます。

レスベラトロールは、生体外実験(培養組織などを用いた実験)や動物実験では、抗ガン作用長寿・抗酸化・抗炎症・脂肪燃焼・認知症予防・免疫機能改善などの効果などが一応確認されています。

人体への効果は不明瞭

しかし、これらの効果は生身の人体を対象にした試験ではほとんど確認されていません。特に抗酸化作用については、ヒトではレスベラトロールが体内ですぐに代謝されるうえに、その代謝物(レスベラトロールが体内で存在する形態)の抗酸化作用がレスベラトロールよりも弱いため、レスベラトロールの抗酸化効果はビタミンC・ビタミンE・尿酸・グルタチオンなどの抗酸化物質よりも弱いと考えられます。

経口で摂取された(口から飲み込まれた)レスベラトロールは、人体に良く吸収されるものの、速やかに代謝および排除されるために、人体による利用率は低い水準にあります。

ヒトを対象に行われた研究

最近ではヒトを対象とする研究も行われていますが、否定的な結果になることが多いようです:

  • "The Journal of Physiology"(2013年7月)に掲載されたコペンハーゲン大学の研究によるとレスベラトロールの抗酸化作用によって、運動による心血管への健康効果が阻害される可能性があります。 老化や病気の原因になる酸化ストレスが、運動などのストレスに対する健全な適応を引き起こすシグナルとして必要であるからかもしれません。
  • "Applied Physiology, Nutrition and Metabolism" 誌に掲載されたクイーンズ大学の研究(2014年10月)でも、レスベラトロールが運動の効果を増幅するどころか阻害する可能性があるという結果になっています。
  • "JAMA Internal Medicine" に掲載されたジョンズ・ホプキンス大学の研究(2013年5月)では、イタリア人のレスベラトロールの摂取量と病気になるリスクや寿命とを照らし合わせた結果、レスベラトロールに長寿の効果も病気予防の効果も期待できないという結論になっています。
  • "Journal of Neuroscience"(2014年6月)に掲載された研究によると、レスベラトロールに記憶力を改善する効果があるかもしれません。 レスベラトロールを服用したグループではプラシーボのグループに比べて、①短期記憶力が向上し、②海馬の細胞間の接続が増加し、さらに③血糖値が下がっていました。
  • 2015年にレスベラトロールのアルツハイマー病への効果を調べたフェーズ2試験の結果が "Neurology" 誌に発表されています。 高純度のレスベラトロールを大量に服用したグループでは、アルツハイマー病の進行に伴い減少する物質が減少しないという結果でした。
  • "Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism"(2014年10月)に掲載された研究では、メタボリック・シンドロームの中年男性がレスベラトロールを1日 1,000mg服用することによって、骨密度が2.6%増加するという結果になっています。 骨形成のマーカー(BAP)の血中量も16%増加していました。

  • 2012~2014年にかけて発表された複数の研究では、レスベラトロールが糖尿病にも有効である可能性が示されています。 レスベラトロールは次の3点において糖尿病治療に効果を発揮します: ①インスリンを分泌するβ細胞の機能不全を阻止する、②インスリン感受性を改善する、③炎症を緩和する。

    レスベラトロールは用量が多いときと少ないときでは作用の仕方が異なります。 レスベラトロールの用量が多いとAMPK経路に作用しますが、用量が少なくてもSIRT1経路に作用してインスリン感受性と血糖値の改善に効果を発揮します。 ただし糖尿病治療に使用する場合にも、レスベラトロールの利用効率の低さが問題となります。

レスベラトロールが効果を発揮する仕組み

心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)には慢性的な炎症が関与していることが少なくありませんが、"Nucleic Acids Research" 誌(2014年12月)に掲載されたマインツ大学(ドイツ)などの研究によると、レスベラトロールは KSRP(KH-type splicing regulatory protein)というタンパク質と結合してこれを活性化させることによって、炎症を抑制する効果を発揮します。 KSRP が複数の炎症仲介物質に関与する伝令RNA(mRNA)の安定性を損なうために、炎症仲介物質の合成が阻害されます。

"Science" 誌(2013年3月)に掲載されたハーバード大学の研究によると、レスベラトロールは人体中において SirT1 の生産を促進することによってアルツハイマー病予防の効果を発揮すると思われます。 SirT1 というのは酵素の一種で、細胞のミトコンドリア(エネルギーを生産する)の速度を上げることによって病気を防ぐ作用があります。 SirT1 は、カロリー制限と運動によって活性化されますが、この研究によるとレスベラトロールにも SirT1 を活性化させる作用があります。

"Nature" 誌オンライン版(2014年12月)に掲載された研究では、レスベラトロールが効果を発揮するための経路に、SirT1 経路以外のものもあることが示されています。 この研究で示されたのは TyrRS - PARP-1 経路という経路で、この経路には腫瘍の抑制や長寿などに関与する遺伝子群を活性化させる作用があると考えられます。 さらに、TyrRS - PARP-1 経路の活性化に必要なレスベラトロールの量は SirT1 経路の千分の1程度になります。

レスベラトロールの摂取量と安全性

レスベラトロールの最適な摂取量は未だ確立されていませんが、これまでの試験で1日あたり20mg~2gであれば安全に服用できることが示されています。

ただし、子供や妊婦、授乳中の女性、肝臓や腎臓に重度の障害を持つ人に関しては、20mg~2gという摂取量が安全かどうかは不明です。

レスベラトロールのサプリメントを妊娠中に服用すると胎児の膵臓に異常が生じる可能性があるという研究が 2014年6月に発表されています。

妊婦以外ではレスベラトロールの人体に対する有毒性や副作用は報告されていませんが、人体への有毒性や副作用を調べた臨床試験は、これまでに2~3しか実施されておらず不十分です。 最近の臨床試験では、レスベラトロールを1回あたり5グラム服用しても深刻な副作用は見られませんでした。 また、マウス実験では、体重1kgあたり300mgを4週間投与しても明らかな副作用は認められませんでした。

ただし、レスベラトロールはエストロゲンに似た作用を持つため、乳ガンや、卵巣ガン、子宮ガンなどエストロゲンが関与するタイプのガンのリスク要因となる可能性があります。 これらの病歴があったり、リスクが高い(家族歴があるなど)女性は、レスベラトロールのサプリメントを避けたほうが良いでしょう。

レスベラトロールとの併用に注意が必要な薬

レスベラトロールが人体において血小板の作用を阻害することが示されています。 したがって、理論的には、抗凝固薬(ワルファリンなどの血栓の薬)や、抗血小板薬、非ステロイド系抗炎症薬(痛み止めの薬)を服用している人がレスベラトロールをサプリメントなどで大量に摂取すると、出血のリスクが増加すると考えられます。

また、シンバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン(親油性のスタチンということでしょうか)などのHMGCoA還元酵素阻害剤や、フェロジピンやニカルジピンなどのカルシウム拮抗剤、アミオダロンなどの抗不整脈薬、HIVプロテアーゼ阻害薬(サキナビル)、免疫抑制剤(シクロスポリンとタクロリムス)、抗ヒスタミン剤(テルフェナジン)、ベンゾジアゼピン(ミダゾラムとトリアゾラム)、シルデナフィルを服用している人も、レスベラトロールの摂取には注意が必要です。

これらの薬は、体内でシトクロム P450 3A4(CYP3A4)という酵素によって代謝されますが、レスベラトロールが CYP3A4 の活性を阻害することが生体外試験で確認されています。 つまり、レスベラトロールに服用した薬の成分を消滅させる酵素を阻害する作用があるので、これらの薬を服用している人がサプリメントなどでレスベラトロールを大量に摂取すると、飲んだ薬の成分がいつまでも体内に残り、薬の作用が強くなりすぎる危険性があるというわけです。

また、ネズミの実験ですがメトホルミンとレスベラトロールの併用が血糖値の低下に効果的であるという結果になったものがあるので、メトホルミンを服用している人もレスベラトロールの使用には注意が必要かもしれません。