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ビタミンDについて

1. ビタミンDとは

ビタミンDは脂溶性のビタミンです。 脂溶性ビタミンは、水に溶けにくく油に溶けやすいという性質を持ちます。 脂溶性ビタミンは、過剰に摂取した場合に尿により排出されるということがないので、過剰摂取に注意する必要があります。

ビタミンDは、小腸によるカルシウムなどのミネラルの吸収を助ける作用を持つほか、健康な骨や筋肉を維持するのにも必要とされます。 ビタミンDにはさらに、傷んだ細胞を細胞死に導いたり、ガンの腫瘍に栄養を供給する血管が形成されるのを阻害したりすることによってガンを抑制する作用もあると思われます。 最近では心血管(心臓と血管)やダイエットへのビタミンDの効果も注目されています。

ビタミンDは、光・熱・酸化に弱いので、ビタミンDのサプリメントは冷蔵庫に保管するのが良いでしょう。

1.1. ビタミンD2 とD3

主に植物の体内に存在するのがビタミンD2(エルゴカルシフェロール)で、主に動物の体内に存在するのがビタミンD3(コレカルシフェロール)です。 人が日光に当たったときに体内で生産されるのもビタミンD3です。

カルシフェジオール(下記の「体内でのビタミンDの変換」を参照)の血中濃度を維持するうえで ビタミンD2とD3どちらが優れているかについては複数の研究が行われていますが、それらの結果は大きく分けて次の3通りになります:
  • ビタミンD3の方が優れている
  • D2とD3で同程度である
  • 長期的にはD3の方が優れている(消失半減期がD2で33日、D3で82日)

くる病の緩和については、D2とD3で同程度の効果があるとされています。

ビタミンD2のサプリメントを服用するとビタミンD3の体内量が減ってしまうという話もあります。

1.2. 体内でのビタミンDの変換
ビタミンD3には次の3つの形態があります:
  • コレカルシフェロール/エルゴカルシフェロール
    日光に当たって皮膚で作られたり、サプリとして飲むビタミンD。
  • カルシフェジオール
    コレカルシフェロールまたはエルゴカルシフェロールから作られる中間生産物。 ビタミンDの血中濃度の計測に用いられる。 カルシジオールあるいは25-ヒドロキシビタミンD3とも呼ばれる。
  • カルシトリオール
    最終生産物。 体が利用できるビタミンDはこれ。 1,25-ジヒドロキシビタミンD3とも呼ばれる。

皮膚に日光が当たって作られたり、食事・サプリメントから摂取したコレカルシフェロールやエルゴカルシフェロールは血流に乗って肝臓に運ばれ、そこでカルシフェジオールに変換されます。 そして、カルシフェジオールからカルシトリオール(人体が利用できる活性型のビタミンD)が作られます。

つまり、ビタミンDは体内で次の順序で変換されてゆくというわけです:
コレカルシフェロール/エルゴカルシフェロール ⇒ カルシフェジオール ⇒ カルシトリオール
ビタミンDの血中濃度の測定には、最終生産物であるカルシトリオールではなくて中間生産物であるカルシフェジオールの血中量が用いられます。
2. ビタミンDの補給
2.1. 日光による補給

ヒトは、皮膚に紫外線が当たることでビタミンD(ビタミンD3)を自分で作り出すことができます。

ビタミンD血中濃度は日射量の多い8月に最高になり日射量の少ない2月に最低となることが示されていることからも、ビタミンDの補給において日光に無視できないインパクトのあることがわかります。

2.1.1. UVAとUVB

ビタミンDが体内で作られるのは紫外線のなかでもUVB(紫外線B波)に当たったときで、UVA(紫外線A波)に当たっても作られません。

UVBはUVAに比べて波長が短く雲や窓ガラスなどによって遮られやすいため、ガラス越しの日光にしか当たらない人や、雲が多い地域に住んでいる人ではビタミンDが十分に作られない可能性があります。 (UVAはガラスや雲も通過しますがビタミンD補給の役には立たずシミやシワ、皮膚ガンの原因となるだけです)

オスロ大学の研究によると、太陽光に占めるUBVの比率が最も高くなるのは正午です。 したがってビタミンD目当てで日光浴をするのであれば、正午に太陽の光に当たることで皮膚へのダメージを最小限に抑えて効率よくビタミンDを合成できます。

2.1.2. ビタミンD合成の所要時間

国立環境研究所(茨城県つくば市)の研究によると、冬の札幌でも76分間の日光浴で成人が1日に必要とする量のビタミンDを作れます。 スペインのバレンシアで行われた研究では、真冬の1月に 1,000IUのビタミンDを得るには130分間の日光浴が必要だという結果になっています。

十分なビタミンDを得るのに必要となる日光浴の時間は、服装(長袖か半袖かなど)や姿勢の影響を受けるので、日光にさらされる皮膚の範囲が狭ければ必要となる日光浴の時間が長くなります。 一般的には、日光に当たりすぎてもビタミンDが過剰に作られる心配はありません。

2.2. 食事やサプリメントによる補給

自分で作り出すビタミンDだけでは足りない人は、食事やサプリメントで補給することができます。

2.2.1. ビタミンDを豊富に含む食品
ビタミンDを多く含む日常的な食材には次のようなものがあります。

ビタミンDを多く含む卑近な食品(μg/100g)
キクラゲ39.4
ベニザケ33.0
そうだがつお22.0
いかなご21.0
サンマ19.0
マイタケ4.2
ぶなしめじ3.3
生シイタケ2.4
*魚類は生のとき、キノコ類は茹でたときの数値

特にキノコ類については、紫外線に当たってビタミンD2を合成したキノコを食べることで、ビタミンD2またはビタミンD3のサプリメントを服用するのと同様の効果があるとする研究が発表されています。

2.2.2. サプリメントによる補給

ビタミンDを十分に含む食品は少ないため、日光浴や食事だけでビタミンDを十分に摂れない場合にはサプリメントも利用すると良いでしょう。 他の健康食品やビタミンCやEなどと違ってビタミンDは、多くの専門家がサプリメントの利用を推奨しています。

ただし、そういう専門家も必ずと言っていいほど、医師に相談してからビタミンDのサプリメント服用を開始するようにと警告しています。 また、米国で行われた調査に、ビタミンDのサプリメントのビタミンD含有量が表示と異なるという結果になったものがあります。 日本にも当てはまるかもしれません。

2.2.3. ビタミンD補給のコツ

ビタミンD3のサプリメントを服用するときに1日の食事に含まれる脂肪分を30%増やすとビタミンD3の吸収率も30%ほど増えるという話や、ビタミンDを摂るときにL.ロイテリ菌という乳酸菌のサプリメントを同時に服用することでビタミンDの吸収率が増加するという話があります。

3. ビタミンD摂取量の目安
3.1. 日本における摂取目安量と上限量
ビタミンDの摂取目安量と上限(μg/日)
  男性 女性
  目安量
上限量
目安量
上限量
0~5(月) 2.5(5) 25 2.5(5) 25
6~11(月) 5 25 5 25
1~2(歳) 2.5 25 2.5 25
3~5(歳) 2.5 30 2.5 30
6~7(歳) 2.5 30 2.5 30
8~9(歳) 3.0 35 3.0 35
10~11(歳) 3.5 35 3.5 35
12~14(歳) 3.5 45 3.5 45
15~17(歳) 4.5 50 4.5 50
18~29(歳) 5.5 50 5.5 50
30~49(歳) 5.5 50 5.5 50
50~69(歳) 5.5 50 5.5 50
70以上(歳) 5.5 50 5.5 50
妊婦(付加量)   +1.5 -
授乳婦(付加量) +2.5 -
#「0~5ヶ月」のカッコ内の数値は、日光にあまり当たらない乳児の場合のもの。
# 表は「健康食品の安全性・有効性情報」に記載のもの。
ビタミン量の単位について

ビタミンの量の単位は、μg(マイクログラム)で表記される場合と、IU(International Unit、国際単位) で表記される場合があります。

μg → IU に換算するときは、「μg×40」で計算し、逆に IU → μg へ換算するときは「IU÷40」で計算します。
3.2. 米国におけるビタミンD所要量
米国のビタミンDのRDA(*)は今のところ、1~70才では1日あたり600IU(15μg)、71才以上では800IU(20μg)となっています。 しかし、ビタミンDの所要量がもっと多いのではないかとする研究もあります。
(*) RDA(推奨一日許容量)とは、97.5%の人においてビタミンなどの所要量を満たすのに十分であるとされる摂取量のことです。 これに対して、上記の表の「目安量」は特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量を意味します。
3.3. ビタミンDが欠乏している場合の投与量

米国内分泌学会ではビタミンDが欠乏している場合に、18才以上の成人では5万IU/週または6千IU/日を8週間にわたり、そして1~18才の未成年では5万IU/週または2千IU/日を6週間にわたり投与することを推奨しています。

ただし "Journal of Pediatrics" に掲載された 2015年の研究では、ティーンエイジャー(この研究では平均年齢16.6才)であっても体のサイズが成人並みである場合(そして特に肥満している場合)には成人と同程度の量(5千IU/日または5万IU/週を8週間)を投与すると良いという結果になっています。

4. ビタミンDの欠乏症と過剰症
4.1. ビタミンDの欠乏症
"Vitamin D Deficiency" という2007年の文献によると、カルシフェジオール(*)の血中濃度が 20ng/ml(†)未満である状態がビタミンD欠乏(deficiency)にあたり、21~29ng/ml である状態がビタミンD不足(insufficiency)にあたります。 ただし、必要とされるビタミンD血中濃度に関する統一的な見解は未だ存在せず、WHOでは、20ng/ml 未満をビタミンD不足としています。

(*) ビタミンDの血中濃度を調べるときには、血中のカルシフェジオール(25-ヒドロキシ ビタミンD)の量を測定します。

(†) 1ミリリットルあたり20ナノグラム。 文献によっては 20μg/L(1リットルあたり20マイクログラム)と表記されることもあります。 「ナノ」は「マイクロ」の千分の1の単位です。

ビタミンDの血中濃度は nmol(ナノモル)という単位で表現されることもあります。 ナノグラムからナノモルに変換するには(ビタミンDの場合)2.496 を掛け算するので、20ng/ml は 50nmol/L ほど、21~29ng/ml は 52~72nmol/L ほどとなります。

ビタミンDが欠乏すると、子供ではくる病、大人では骨軟化症、そして老人では骨粗しょう症や骨折のリスクが増加します。 ドライアイのリスクが増えるという話もあります。 ビタミンDは筋肉でも必要とされるため、ビタミンD不足が原因で筋肉疲労になることもあります。

4.1.1. ビタミンDが不足しがちな人

日照量が少ない地域に住む人・あまり日光に当たらない人・日焼け止めのクリーム(SPFが8以上のもの)を使用している人・肌の色の濃い人・肥満者・遺伝子的にビタミンDの利用効率が低い人・肝臓や腎臓に疾患がある人・菜食主義者・脂質吸収障害の人ではビタミンDが不足することがあります。

日光でビタミンDを合成する能力は年を取るにつれて衰えるので、高齢者もビタミンD不足に要注意です。 中年の時点でも、子供に比べるとビタミンD合成能力が2/3ほどに衰えています。

4.2. ビタミンDの過剰症

米国の基準では、ビタミンDの適正な血中濃度は 20-50 ng/mL とされています。 したがって、血中濃度が 50 ng/mLを超えるとビタミンDが過剰ということになります。

ビタミンDが過剰であると、腎臓や筋肉にカルシウムが沈着したり、軟組織が石灰化するほか、嘔吐・食欲不振・体重減少などが起こることがあります。 ただし、日光に当たることで、ビタミンDが過剰に生産されることはありません。

"Mayo Clinic Proceedings"(2015年)に掲載された調査によると、ビタミンDのサプリメントによりビタミンD中毒になるケースはまれですが、過剰症というほどの量ではなくても、ビタミンDを取りすぎると心臓や血管の健康にとって逆効果になることが複数の研究で示されています。

この種の研究によると、心血管の健康という観点からはビタミンDの理想的な血中濃度は 20 ng/ml(50 nmol/L 程度)を少し超える程度であるようです。 ビタミンDの血中濃度を知るには医療機関で検査をする必要があります。