解熱鎮痛剤を飲むと他人の心身の痛みにも鈍感になる

(2016年5月) イブプロフェンが喉だけでなく心の痛みにも効くという研究がありますが、"Social Cognitive and Affective Neuroscience" 誌に掲載されたオハイオ州立大学の研究によると、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンを服用したときには自分の心身の痛みだけでなく他人の心身の痛みに共感する能力も鈍感になります。出典: When You Take Acetaminophen, You Don’t Feel Others’ Pain as Much
今回の研究チームの過去の研究には、解熱鎮痛剤が心の痛みだけでなく喜びまで鎮めてしまうというものもあります。
研究者は次のように述べています:
「例えばアセトアミノフェンが効いている時に夫婦喧嘩をすると、自分の言動が相手の感情を傷つけてしまっても、それを敏感に感じ取ることができません」
1つ目の実験
方法

80人の大学生を2つのグループに分けて、一方のグループにはアセトアミノフェン1gを溶かした飲料を、そしてもう一方のグループにはプラシーボとして薬物を含まない飲料を飲んでもらいました。

そしてアセトアミノフェンが効果を発揮し始める1時間後に、両グループに登場人物が何らかの苦しみ(*)を被る8つの短編を読んで、登場人物が被った苦しみの程度を5段階で評価してもらいました。
(*) ナイフで刺されて骨にまで達する傷を負う(肉体的な苦痛)とか、父親が死亡する(精神的な苦痛)とか。
結果

アセトアミノフェンを盛られたグループの方が、登場人物の苦しみを低く評価しました。

2つ目の実験
方法

114人の大学生を2つのグループに分けて、1つ目の実験と同様に一方のグループにのみアセトアミノフェンを飲ませました。

そして両グループに2秒間にわたって雑音を浴びせるということを4回繰り返して、雑音の不快さを10段階で評価してもらいました。 さらに、その雑音が他の人にとってどれだけ不快となるかを想像してもらいました。

結果

アセトアミノフェンを飲まされたグループの方が、雑音の不快さが自分にとっても他人にとっても軽度であると評価しました。

3つ目の実験
方法

上述の114人の大学生に、束の間の交流の後に各自でコンピューター・ゲームをプレイしてもらいました。 ゲーム中には交流した人たちの中から3人が選ばれて登場し(実際には、3人とも被験者ではない)、3人のうちの1人が他の2人に仲間はずれにされました。

そして各自に、仲間はずれにされた人の心がどれだけ傷ついたであろうかを評価してもらいました。

結果

アセトアミノフェンが混入された飲料を飲んだグループの方が、仲間はずれにされた人の心の傷が浅いと評価しました。

関連研究
2004年に発表された研究では、他人の肉体的な痛みに思いを馳(は)せるときには自分が体の同じ部分に痛みを感じるときに活性化するのと同じ脳の領域が活性化することが示されています。