関節炎の症状軽減にアセトアミノフェンは効果が期待できない

(2016年3月) "The Lancet" 誌に掲載されたベルン大学(スイス)の研究(メタ分析)によると、アセトアミノフェンは膝や股関の変形性関節症(以下「関節炎」)にの症状軽減において実際的な意味があると言えるほどには効果がありません。

関節炎と解熱鎮痛薬

軽症~中等症の関節炎の治療には、とりあえずアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの解熱鎮痛薬が用いられるのが一般的ですが、NSAIDを長期的に服用すると心臓・血管や胃腸に副作用が生じる恐れがあるため、アセトアミノフェンが使われるケースが多数です。

研究の方法

1980年~2015年のうちに発表された74のランダム化比較試験のデータを用いて、様々な用量のアセトアミノフェンや7種類のNSAIDとプラシーボとで治療効果を比較しました。 データに含まれる関節炎患者の人数は合計で5万8千人超でした。

結果

アセトアミノフェンも7種類のNSAIDもプラシーボよりは関節炎の症状軽減に効果がありました。 しかし、関節炎による痛みの軽減や運動機能の改善に対するアセトアミノフェンの効果はプラシーボに比べて微々たるもので、臨床的に有意であるとされるに足るだけの効果は認められませんでした。

今回のメタ分析で関節炎の症状軽減に最も有効だったのはNSAIDの一種であるジクロフェナック(150mg/日)で、NSAIDの中でも関節炎の治療に用いられることが多いセレコキシブや、イブプロフェン、ナプロキセンなどを最大用量で用いたときよりも優れた効果を発揮していました。

ただし、ジクロフェナックを用いた試験は期間が短かったためジクロフェナックの長期的な効果は不明です。 さらに、NSAIDは長期的に服用すると副作用の恐れがあります。

結論

研究チームは、「アセトアミノフェンは用量に関わらず関節炎の治療に向かない」と結論付けています。

留意点

今回のメタ分析に用いられた試験の大部分は試験期間が3ヶ月間以下と短かったため、長期的な試験で今回の結果を確認することが必要です。

また、メタ分析全体で言えば被験者数は十分だったものの、プラシーボの比較対象となったグループの数がアセトアミノフェンの用量やNSAIDの種類の違いにより全部で22と多数であったため、各グループの被験者数は十分ではありませんでした。