胸焼けで食道が受けるダメージは胃酸によるものではない?

(2016年5月) "Journal of the American Medical Association" に掲載された UT Southwestern Medical Center(米国)などの研究によると、胃食道逆流症(胸焼け)で食道に生じるダメージは胃酸によるものではない可能性があります。出典: Surprising Mechanism of Acid Reflux Damage Identified by UT Southwestern/Dallas VA Researchers

概要

80年以上も前から、胸やけにより食道の表面がダメージを受けるのは胃から逆流する胃酸によるものだと考えられてきましたが、今回の研究によると、胸焼けによるダメージはサイトカインと呼ばれるタンパク質が分泌されるために促進される炎症により生じると考えられます。

今回の発見により従来の胸焼け治療法を直ちに変更する必要が生じるわけではありませんが、長期的には今後の治療薬の開発に影響すると思われます。

経緯

今回の研究は、以前に行われたマウス実験の結果に基づいていています。 このマウス実験では、で胃酸により食道にダメージが生じるまでに数週間がかかるという結果になりました。

胃酸により化学的にダメージが生じるのであれば直ちに生じるはずなので、「胸焼けによるダメージは胃酸が原因ではないのかもしれない」と研究チームは考えたわけです。

今回の研究

プロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬で逆流性食道炎(食道表面に損傷が生じる)が治った患者11人のPPIの服用を中止して逆流性食道炎を再発させて胃食道逆流症における初期の変化を観察したところ、この初期の変化というのが化学的な火傷ではありませんでした。

この結果から、胃酸の逆流により食道が刺激されるためにサイトカインが作られて炎症が生じるのではないかと考えられます。