糖尿病患者が感染するアシネトバクターは、抗生物質が一切効かないタイプのものである割合が100%

(2013年5月) 糖尿病患者で細菌感染のリスクが増加することは、これまでにも知られていましたが、英国とサウジアラビアの合同研究グループによると、Acinetobacter baumannii(A. baumannii) という耐性菌に感染しているのが糖尿病患者である場合には、この A. baumannii がカルバペネムという唯一残された抗生物質への耐性をも有している率が通常よりも高くなります。
A. baumannii
A. baumannii は、中東で頻繁に検出される細菌で、イラクやアフガニスタンの戦争で負傷した兵士が多く感染したことから俗に「イラク菌」と呼ばれています。 A. baumannii は、免疫系に問題のある人にしか感染せず主に病院内で感染します。 Wikipediaによると、日本でも A. baumannii の感染例があります。
研究の内容

この研究で、2008~2011年のあいだにサウジアラビアの病院の集中治療室の患者たちから採取された271のサンプルから75をランダムに選んで培養したところ、糖尿病患者では A. baumannii が100%の割合でカルバペネム(メロペネムまたはイミペネム)への耐性を有していました。 糖尿病でない患者の場合は、この割合は53%でした。

地域による菌株の違い
国などの地域の違いによって A. baumannii の菌株の種類に違いがあることが知られています。 例えば同じヨーロッパのうちでも、ヨーロッパ北部で見つかる菌株よりもギリシャやトルコで見つかるものの方が強い薬物耐性を有している傾向にあります。 このような違いは抗生物質の使用の仕方の違いによるのかもしれません。