女性のほうが膝靱帯を負傷しやすい理由

(2016年3月) "Medicine & Science in Sports & Exercise" 誌に掲載された研究によると、女性のほうが膝の靱帯(前十字靭帯、"ACL")を傷めやすいのはエストロゲン(女性ホルモン)によりACLが弱くなるからかもしれません。

避妊用のピルの服用によりエストロゲンの量が安定的に減少している女性はACLに深刻な怪我をすることが少なかったのです。出典: Why Are Women More Prone to Knee Injuries Than Men?

前十字靭帯について

前十字靭帯(ACL)は膝の最上部と最下部とをつなぐ靭帯で、この部分の損傷は選手生命にも関わりかねない深刻な怪我となります。 サッカー選手の場合、ACLを傷めた後に選手として復帰できる率は49%でしかありません。 また、ACLの損傷は日常生活においても、膝の不安定・歩行障害・関節炎の早期発症などの問題を引き起こすことがあります。

女性の運動選手は男性の1.5~2倍もACLを怪我しやすいというデータがあります。

研究の概要

15~19才の女性 23,428人の保険金請求や処方のデータを用いてACL負傷と避妊用ピル服用との関係を調べたところ、ACLの負傷により矯正外科手術が必要となったグループはACLを負傷しなかったグループに比べて、ピルを服用している率が22%低くなっていました。

解説
研究チームはこの結果に基づき、女性はエストロゲンでACLが弱くなるためにACLを怪我しやすいのではないかと考えています。 研究者は次のように述べています:
「避妊用ピルにはエストロゲンの量を抑制する作用があります。 この作用によりACLが周期的に弱くなるのが防がれるのかもしれません」

過去の研究では、月経周期的にエストロゲンの量が増える時期にACLに怪我をする女性が多いことが示されています。

また、15~19才というのはACLに怪我をすることが最も多い年齢層です。 研究者によると、思春期によりエストロゲンの量が急増したり成長した脚に体が慣れていなかったりするためにACLの怪我が増えるのかもしれません。