ホットフラッシュに鍼治療が効く①

(2015年9月) "Journal of Clinical Oncology" に掲載されたペンシルバニア大学で、乳ガン治療後に生じるホットフラッシュに鍼治療が効くという結果になりました。出典: Acupuncture Dramatically Reduces Hot Flashes in Breast Cancer Survivors, Penn Study Suggests

乳ガンの患者はエストロゲンをターゲットとする治療のためにホットフラッシュになることが多く、しかも重症であることが少なくないのですが、乳ガン患者はホットフラッシュの主要な治療法であるホルモン補充療法(女性ホルモンを投与する)を利用できません。参考: ホルモン補充療法のガイドライン

過去の複数の研究で、乳ガン患者においては関節痛にも鍼治療が有効であることが示されています。

研究の内容
乳ガンの治療を終えていてホットフラッシュの症状が1日に複数回生じるという女性120人を次の4つのグループに分けました:
  1. 電気鍼治療を受けるグループ(最初の2週間は週に2回、残りの6週間は週に1回)
  2. ガバペンチン(*)900mgを服用するグループ。
  3. ガバペンチンのプラシーボを服用するグループ
  4. 偽の電気鍼治療(†)を受けるグループ

    (*) ガバペンチンは癲癇の薬で、乳ガン患者のホットフラッシュを静めるのに効果があることが示されています。

    (†) 偽電気鍼治療とは電気鍼治療において鍼を実際には刺さなかったり、電流を流さなかったりすること。 プラシーボに相当します。
結果

ホットフラッシュの頻度と重症度を測定するアンケートのスコアにおいて、8週間後に最も症状が軽減されていたのは電気鍼治療を受けたグループでした(-7.4ポイント)。 その次が偽の電気鍼治療のグループ(-5.9ポイント)で、その次がガバペンチンを服用したグループ(-5.2ポイント)、最も軽減幅が少なかったのがガバペンチンのプラシーボを服用したグループでした(-3.4ポイント)。

治療効果の持続

さらに8週間の治療期間が終了してから16週間後に行った調査では、電気鍼治療と偽電気鍼治療のグループでホットフラッシュの症状軽減幅が維持されるどころか大きくなっていました(-7.4ポイント ⇒ -8.5ポイント、-5.9ポイント ⇒ -6.1ポイント)。

ガバペンチンのプラシーボを服用したグループでも症状軽減幅が大きくなっていました(-3.4ポイント ⇒ -4.6ポイント)。 これに対してガバペンチンのグループでは軽減幅が小さくなっていました(-5.2ポイント ⇒ -2.8ポイント)。

副作用

副作用についても、電気鍼治療グループと偽電気鍼治療グループの方が他の2つのグループより少ないという結果でした。

特に偽電気鍼治療グループは副作用が少なくて、1人が眠気を訴えただけでした。 同じプラシーボでもガバペンチンのプラシーボのグループでは頭痛・疲労感・眠気・便秘などの副作用を訴える人が8人もいました。

鍼治療の実効性

被験者数が物足りないために確定的なことは言えませんが、偽電気鍼治療よりも電気鍼治療の方が効果が25%高かったことから鍼治療には本当の効果があるのかもしれません。

過去の複数の研究では、鍼治療にエンドルフィンなど鎮痛・気分改善効果のある分子の血中濃度を増やす作用のあることが示されています。 偽鍼治療と鍼治療とでは脳に及ぼす作用が異なることを示す研究も複数存在します。