短期的な心理的ストレスが皮膚炎に効く?

(2014年8月) "Journal of Investigative Dermatology" オンライン版に掲載されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究(マウス実験)によると、心理的ストレスを短期的に感じることによって皮膚炎の治癒が促進される可能性があります。

急性的なストレスにより治癒が促進された皮膚炎は、①刺激物(石鹸や溶剤など)との接触が原因となる皮膚炎、②アレルギー性接触皮膚炎(毒性のある植物に触れるなどが原因)、および③アトピー性皮膚炎の3種類です。

研究グループによると、ストレスによる皮膚炎の治癒は、グルココルチコイド(糖質コルチコイド)というステロイド・ホルモンの一種が持つ抗炎症作用によるものです。 グルココルチコイドは、ストレスに反応して副腎から分泌されます。

これまでの研究では、グルココルチコイドに長期的にさらされる場合には、グルココルチコイドが皮膚や臓器の構造および機能に有害となることが示されています。 慢性的なストレスというのが、グルココルチコイドが慢性的に生産される原因となるのでしょうか。

最近の別の研究にも心理的ストレスが治癒を促進する可能性を示唆するものがありますが、そちらの研究ではグルココルチコイドではなく免疫系に焦点を当てています。

研究の方法
この研究では、マウスの片耳の一部に刺激物を塗った後に、マウスを2つのグループに分けて、一方のグループは普通に飼育し、もう一方のグループを4日間にわたって、とても狭い場所に1日18時間閉じ込める(=心理的ストレス)という実験を、3種類の刺激物で行ないました。

つまり、3種類×2グループで、計6グループのマウスを用いたということでしょう。

実験の結果、3種類の刺激物のいずれでも、狭い場所に閉じ込められたグループの方が炎症の程度が軽く、皮膚の治癒も速まっていました。

さらに、狭い場所に閉じ込められてストレスを受けたグループにミフェプリストンというステロイドの作用を遮断する物質を投与したところ、ストレスがもたらす上記の効果は消滅しました。 このことから、ストレスの皮膚炎に対する効果に体内で生産されるステロイド(グルココルチコイドのことでしょう)が関与していると考えられます。

この研究の意義
研究者によると、今回の研究は医療への利用を念頭に行なわれたものではありません。 ただし研究者は、今回の研究において短期的なストレスによりグルココルチコイドの量がほどほどに増え、それによって相当な効果がもたらされたことを、ステロイド療法において頻繁に見られる副作用と対比させています。

持って回った言い方ですが、要するに「ステロイド薬は控えめに使う方が良い」と言いたいのでしょう。 副作用が出るほどの用量・期間でのステロイド薬の使用を慢性的なストレスに、そして適量のステロイド薬使用を短期的なストレスに例えたいのではないでしょうか。