閲覧以外で当サイトのコンテンツを利用する場合には必ず引用・転載・ネタ探しをするときのルールに目を通してください。

ADHDの原因は脳の発達の遅れ? ADHDの患者は脳のサイズがわずかに小さい

(2017年2月) "The Lancet Psychiatry" 誌に掲載されたラドバウド大学(オランダ)の研究によると、注意欠陥・多動性障害(ADHD)は、単に「行動上の問題がある」というだけの話ではなく、脳の構造的な異変を伴うれっきとした病気です。 ADHD患者は健常者よりも脳がわずかに小さかったのです。

ADHDについて

ADHDの症状は、注意散漫・衝動性・過剰な活発性などです。 ADHDと診断されるのは大部分が子供ですが、成人後にも症状が続くことがあります。

ADHDの原因については今も議論が続いており、専門家のなかには「ADHDなんて病気は存在しない。 子供の性格や親のしつけに問題があるケースに対して(営利的な理由で)薬物を使用したいために、そういう病名を作り出しただけだ」と主張する人もいます。

ADHDの治療に用いられるリタリンなどの薬物には、体重の増減・肝臓へのダメージ・自殺念慮などの副作用があります。

研究の方法

4~63才までのADHD患者 1,713人と健常者 1,529人の脳をMRIで撮影し、ADHD患者と健常者とで脳全体のサイズと、ADHDへの関与が疑われている7つの脳領域のサイズを比較しました。

結果

ADHD患者は健常者に比べて、脳全体のサイズおよび7つの脳領域のうちの5つのサイズがわずかに小さいという結果でした。 ADHD患者においてサイズに異変が見られた脳領域は海馬や扁桃体でした。 海馬は思考や記憶に関与しています。 扁桃体は感情の制御にしています。

脳のサイズの差は大人よりも子供で顕著でしたが、大人でもADHD患者と健常者のあいだで違いが見られました。

ADHD治療薬が原因で脳のサイズに違いが生じたわけではないと考えられます。 ADHD治療薬の服用経験がある患者とADHD治療薬を服用したことがない患者との間で、脳のサイズに関して違いは見られなかったためです。

解説

これまでにも同じような研究が複数行われていますが、今回の研究ほど大規模ではなかったために、脳サイズの数パーセントの差というわずかな異変の存在を断定するには至っていませんでした。

鬱病などの精神障害の患者にも、今回の研究で明らかになった脳サイズの異変と同様の異変が見られます。

今回の結果から、脳の複数の領域における発達の遅れがADHDに関与していると考えられます。