注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人は早死にしやすい

(2015年2月) "The Lancet" 誌に掲載されたオーフス大学(デンマーク)の研究で、注意欠陥・多動性障害(ADHD)の人たちは早死にするリスクが通常の2倍超という結果になっています。

早死にのリスクが増える原因は主に事故で、男性よりも女性でリスク増加が顕著でした。

研究の方法

200万人近く(このうちADHDの人は3万2千人超)のデンマーク人男女を1才の誕生日から最大で32年間にわたって追跡調査して、早死にの率と死因を調査しました。

結果
  • ADHDを抱えていた3万2千人超のうち、追跡期間中に亡くなったのは107人でした。 年齢・性別・精神疾患の家族歴・両親の年齢/学歴など早死にのリスクに関与する要因を考慮したうえで、ADHDがある人の死亡率はADHDが無い人の約2倍でした。
  • 早死にの原因は主に事故死でした。 亡くなった107人のうち死因が明らかだったのは79人で、この79人のうち42人が事故死でした。
  • ADHDと診断される時期が遅いほど早死にのリスクは増加していました。 ADHDグループの死亡率と非ADHDグループの死亡率とを同一の年齢で比較したときに、18才以上でADHDと診断されたグループの死亡率は非ADHDグループの4倍超でしたが、6才以前にADHDと診断されたグループでは2倍程度だったのです。
  • ADHDの女性は男性よりも、(非ADHDグループに比べたときの)早死にリスクの増加率が高くなっていました。
  • 過去の研究で、ADHDのある人は物質使用障害、反抗挑戦性障害、および行為障害などが現れるリスクが高いことが示されていますが、ADHDグループのうちこれら3つの障害の全てを抱えていたサブグループでは、ADHDやこれらの障害とは無縁なグループに比べて、早死にリスクが8倍に増加していました。

    物質使用障害
    アルコールや麻薬の使用や依存。

    反抗挑戦性障害と行為障害
    反抗挑戦性障害(oppositional defiant disorder、"ODD")と行為障害(conduct disorder、"CD")はいずれも破壊的行動障害(Disruptive Behavior Disorders)という行動障害の一種です。

    ODDの子供は、権威者(子供にとっての大人)に対する反抗的な態度や、イライラ、怒り、報復性(復讐しなくては気が済まない)、口論好きな性質を示します。 ただしCDの子供と違って、人や動物に敵意を示したり、物を壊したりすることはありません。

    CDはODDよりも深刻で、人や動物への攻撃性を示し、物の破壊、欺瞞、窃盗などの反社会的な(そしてときには犯罪的な)行為をしでかします。 CDは、反社会的人格異常(18才以上に対して用いられるカテゴリー)の前段階であることがあります。
今回の結果から、ADHDの診断と治療を早期に行うことが特に女性の場合には有益だと思われますが、早死にの絶対リスク自体が低いので過度の心配は不要です。