ウォーキングで腸内環境が改善される?

(2019年4月) "Nutrients" 誌に掲載された大阪市立大学の研究で、運動が腸内細菌の種類構成に及ぼす影響が調査されています。

研究の方法

非ランダム化試験において、運動習慣がない65才以上の女性32人を2つのグループに分けて12週間にわたり、一方のグループには胴体の筋肉を鍛える運動(*)を、そしてもう一方のグループには有酸素運動の一種であるウォーキング(3MET以上の激しさで毎日60分間)を続けてもらいました(被験者が希望する運動を選んだ)。 そして、その前後で腸内細菌の種類構成を調べました。
(*) 研究論文(PDFファイル)の3ページ目に運動の様子の写真が4枚あります。

結果

ウォーキングをしたグループでのみ腸内細菌の種類構成に統計学的に有意な変化(主としてバクテロイデス属の細菌の勢力増加)が生じていました。

12週間のウォーキングの後にバクテロイデス属の細菌がよく増えていた人は6分間歩行テスト(6分間のうちにどれだけの距離を歩けるか)の成績が向上していました。

解説

バクテロイデス属の細菌(Bacteroides)は日和見菌なので、健康に良い影響も悪い影響も及ぼし得ます。 例えば、バクテロイデス属の細菌は炎症性腸疾患(IBD)を抑制する方向に働きますが、乳幼児の慢性アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎など)のリスクを増加させる恐れがあります。

ただ、バクテロイデス(Bacteroidetes)の細菌は肥満者に少なく普通体重者に多い腸内細菌として知られており、研究グループも「有酸素運動は健康な高齢女性において腸内細菌叢に有益に作用する可能性がある」と述べています。

有酸素運動によりバクテロイデス菌が増える理由として、研究グループは次の2つの仮説を考えています:
  1. お通じに時間がかかると腸内がアルカリ性に傾きやすくなる → 有酸素運動によりお通じが改善される → 腸内のpHが下がる → バクテロイデス菌は弱酸性(pH6.7)を好むので、バクテロイデス菌が増えやすくなる
  2. 有酸素運動により腸内で短鎖脂肪酸(SCFA)が増える → SCFAによりpHが少し下がる → 弱酸性を好むバクテロイデス菌が増えやすくなる