心肺機能が優れている子供は脳が引き締まってる

(2014年8月) "Frontiers in Human Neuroscience" 誌に掲載されたイリノイ大学の研究によると、心肺機能が優れている子供は、そうでない子供に比べて脳の白質神経路がコンパクトです。

脳の「白質」とは軸索(脳内で神経の信号を伝達する)の束のことで、白質はコンパクトであるほど神経の活動が速く、効率的です。 研究者は次のように述べています:

「これまでの複数の研究で、心肺機能が高い子供では脳の灰白質(記憶と学習に深く関与する)のサイズが大きいことが示されています。 今回の研究では、心肺機能と白質とのあいだにも関係のあることが初めて示されました」


この研究では、9~10才の子供たち24人を対象に、拡散テンソル撮像法(DTI、拡散MRI)という技術を用いて、脳に存在する5つの白質神経路を調べました。 DTI では、生体組織における水拡散(水分子の拡散の具合)を計測します。 白質の場合、水拡散が少ないほど、繊維の割合が多く(fibrous)、白質がコンパクトで望ましいということになります。

子供たちの心肺機能と DTI による調査の結果とを照らし合わせたところ、心肺機能の違いによって白質神経路のうち次の3つにおいて統合性(integrity)に差が生じていました:

  • 脳梁(のうりょう)― 右脳と左脳をつなぐ
  • 上縦束(じょうじゅうそく)― 前頭葉と頭頂葉をつなぐ
  • 放射冠の上半分(superior corona radiata、参考画像)― 大脳皮質を脳幹とつなぐ
この結果は、社会・経済的状態(収入、職業、学歴など)、思春期を迎えた時期、IQ、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や学習障害の有無など脳の状態に影響し得る要因を考慮したうえでのものです。

研究者によると、上記の3つの白質神経路はいずれも、注意力と記憶力に関与しています。

今回の研究では、子供方日の認知機能(知力)の違いは検査しませんでしたが、過去の研究では心肺機能が優れていると認知機能も優れているという関係が示されています。

「当研究室が以前に行った研究では、比較的高齢の大人においても(心肺機能の?)健康度と白質の統合性とのあいだに関係性の存在することが示されています。 したがって、(心肺機能の?)健康は生涯を通して白質に影響するのだと思われます」


今回の研究からも、有酸素運動により心肺機能を高めることによって子供の学業成績を向上させられると言えるかもしれません。