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加齢により筋肉が衰える原因が明らかに

(2012年9月) キングズカレッジ・ロンドンの研究により、加齢による筋肉の修復能力と素早さの衰えの鍵となるタンパク質が発見されました。 研究グループはさらに、マウスの実験で筋肉の衰えを効果的に抑止することに成功しました。

修復幹細胞

この発見で鍵となるのは、筋肉に存在する幹細胞です。 運動中や怪我からの回復中には、この幹細胞が活性化します。 幹細胞が盛んに分裂と増殖を行って筋繊維になり、筋肉の修復を助けるわけです。 そして筋肉の修復が済むと、筋肉内の貯蔵所に戻って再び必要とされるまで休眠状態になります。

高齢者では、この「修復幹細胞」が、必要とされていないときに休眠状態にならないのが問題なのです。 高齢者の修復幹細胞は、活性化しっぱなしで、不必要に分裂と増殖を行います。 その結果、細胞が速いペースで死んで行きます。 筋肉の修復細胞の量は一定なので、修復細胞の死ぬペースが早いほど筋肉修復能力が衰えてしまいます。

そして、高齢者において修復幹細胞が活性化されっ放しになる理由ですが、研究グループが高齢者の筋肉を検査したところ、FGF2 というタンパク質が多いことが判明しました。 FGF2 というのは、細胞分裂を促進するタンパク質です。 研究グループでは、この FGF2 が修復幹細胞の過剰活性化の原因ではないかと推測しました。

ここまでのまとめ
年を取る → FGF2 タンパク質が増加する → FGF2 が修復幹細胞を活性化させる → 修復幹細胞が分裂を始める → 修復幹細胞の分裂回数には限界がある → 分裂回数の限界を超えた修復幹細胞は死ぬか別の細胞になる
修復幹細胞を休眠状態に

そこで研究グループは、FGF2を阻害するSPRY2という遺伝子の働きを強めることで修復幹細胞を休眠状態にできないかと考えました。 そしてこの説をテストするために、老齢のマウスたちにSPRY2を含有する普通薬を投与して FGF2 の体内量を抑制してみました。 すると思っていた通り、修復幹細胞の減衰に歯止めをかけることができました。

FGFを阻害する薬はガン用の薬として既に医療現場で用いられていますが、この薬を筋肉用に使うにはまだ解決しなくてはならない問題があります。 例えば、FGF2 を抑制したとして、筋肉に損傷ができて修復幹細胞を活性化させる必要が生じたときにどうするのかという問題です。