血管は酸化ストレスへの対処法を老化の過程で獲得する?

(2015年7月) 血管内皮の機能は年を取ると衰えると考えられていますが、"Journal of Physiology" に掲載されたミズーリ大学の研究によると血管の酸化ストレスに対する耐性は年を取ることによって向上している可能性があります。出典: Blood Vessels Can Actually Get Better with Age

酸化ストレスとは活性酸素種(ROS)と抗酸化物質のバランスが崩れた状態のことで、糖尿病・高血圧・加齢によるガンなどのリスク要因であると考えられています。

研究者は次のように述べています:
「ROSは細胞機能の調節において重要な役割を果たしていますが、過剰に生産されると酸化ストレスと呼ばれる状態になります。 酸化ストレスは細胞の成長と増殖に干渉することがあります」
研究の方法
酸化ストレスにさらされたときの血管機能に加齢がもたらす影響を調べることを目的として、生後24ヶ月(*)のマウスの一群と生後4ヶ月(†)のマウスの一群を用いて細動脈(small resistance arteries)の内皮を比較しました。 細動脈は組織に流れ込む血流の量と全身の血圧を調節しています。

(*) 人で言えば60代半ば。

(†) 人で言えば20代の初めごろ。

細動脈内皮の比較は、何もしていない状態および過酸化水素で酸化ストレスを生じさせた状態で行いました。

結果

酸化ストレスを20分間にわたり続けたとき、若いマウスでは年を取ったマウスに比べて内皮細胞でカルシウムが異常に増加していました。 このカルシウムの量が増えすぎると、細胞は甚大なダメージを受けます。

さらに、酸化ストレスを60分間にわたり続けると、若いマウスでは年を取ったマウスの7倍も多く内皮細胞が死滅しました。

この結果から、体が老化していくうちに血管内皮が酸化ストレスに対抗するための反応を獲得している可能性があります。

「加齢の過程において血管が、酸化ストレスが急増したときにもROSを制御して細胞死を最小限に抑えられるように適応している可能性があります。 老化した血管は血管としての役割を果たすうえで、このような適応に助けられていると思われます」

「血管内皮が老化に適応するメカニズムは不明ですが、老化が健康的であれば体は自然と酸化ストレスに適応するものなのかもしれません」