空気清浄機で室内の大気汚染物質が軽減されて3日以内に血圧が改善される

(2018年9月) "JAMA Internal Medicine" に掲載されたミシガン大学などによる研究で、普通の空気清浄機を3日間使うだけでも室内の大気汚染物質が軽減されて血圧が下がるという結果になりました。

研究の方法

喫煙習慣がない平均年齢67才の高齢者40人(62%男性)を被験者とするランダム化比較試験(クロスオーバー試験)を行いました。

試験では40人に、次の3つの生活を3日間ずつ続けてもらいました:
  1. 偽の(肝心のフィルターが入っていない。作動音や外見では本物と見分けがつかない)空気清浄機を使用する。
  2. サイズが2.0μm以上の粒子(大気汚染物質)の99%を除去する空気清浄機を使用する。
  3. サイズが0.3μm以上の粒子の99.97%を除去する高性能な空気清浄機を使用する。

3日間と3日間のあいだには1週間の空白期間を設けて、1つの3日間が次の3日間に影響しないように配慮しました。

空気清浄機は寝室居間に設置しました。 空気清浄機は普通のものも高性能なもの70米ドルという比較的安価な機種です。

結果

室内の空気中のPM2.5(下記参照)濃度が、偽の空気清浄機を使用した3日間には15.5μm/m3であったのに対して、普通の空気清浄機を使用した3日間には10.9μm/m3、高性能な空気清浄機を使用した3日間には7.4μm/m3でした。

血圧

空気清浄機を使用した3日間には偽の空気清浄機を使用した3日間よりも血圧(上腕で測定)が下がっていました。

血圧の降下幅(普通の空気清浄機と高性能の空気清浄機のトータル)は、収縮期(最高)血圧が平均3.2mmHgおよび拡張期(最低)血圧が平均1.5mmHgというものでした。 ただし、拡張期血圧に関しては統計学的に有意な結果ではありませんでした(95%CIのレンジが1をまたいでいた)。

2種類の空気清浄機

普通の空気清浄機を使用したときには、収縮期血圧が平均3.4mmHgおよび拡張期血圧が平均2.2mmHg下がっていました。

高性能の空気清浄機を使用したときには、この数字は2.9mmHgと0.8mmHgでしたが、どちらも統計学的に有意な結果ではありませんでした(95%CIのレンジが、いずれも1をまたいでいた)。

解説

空気清浄機を3日間使用するだけでも血圧が下がるという結果でした。 つまり、空気清浄機の使用にかなりの即効性が期待できるというわけです。

2種類の空気清浄機の差について

高性能の空気清浄機で血圧降下効果が見られなかった理由として研究グループは、被験者数の人数が少なかったためだと考えています。 「今回の研究は、空気清浄機を使う場合と使わない場合との差は検知できても、2種類の空気清浄機の性能の差までは検知できない程度の規模のものだった」と述べています。

したがって、今回の研究で性能が高い空気清浄機よりも性能が低い空気清浄機で良好な結果となったのは偶然だと考えられます。

3.2mmHgという降下幅の意義

今回の研究は3日間ずつという短期間の試験でしたが、血圧が3.2mmHg下がった状態が何ヶ月間あるいは何年間もの長期間にわたり持続するとすれば(その可能性は十分に考えられる)、心臓病や脳卒中で死亡するリスクが16%ほど低下する(これまでの疫学的研究のデータに基づく数字)ことが期待されます。

今回の研究では、空気清浄機の使用により収縮期血圧しか下がっていませんでしたが、高齢者の心臓病や脳卒中のリスク要因としては拡張期血圧よりも収縮期血圧のほうが重要です。 また、これまでの研究の中には、空気清浄機で拡張期血圧も下がるという結果になったものもあります。

PM2.5について

PM2.5とは粒子径が2.5μm以下の粒子状物質(Particulate Matter)のことで、日本語では「微小粒子状物質」とも呼ばれます。 PM2.5の発生源は火力発電所・工場・自動車・バイク・焚き火~森林火災などです。

PM2.5はサイズが小さいため、肺の奥深くにまで入り込んで有害性を発揮します。 PM2.5により心臓発作・脳卒中・肥満・糖尿病・肺ガンなどのリスクが増加すると考えられます。

また、PM2.5の成分として、ホルモンに影響する化学物質も含まれています。 研究チームによると、こうした化学物質が乳房の細胞の成長に干渉して乳腺密度を高めている可能性があります。