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大気汚染でガンによる死亡リスクも増加

(2016年5月) "Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention" 誌に掲載されたバーミンガム大学などの研究によると、大気汚染によってガンによる死亡リスクが増加する恐れがあります。

研究の方法

香港に住む65才以上の男女6万6千人ほどを10年超にわたり追跡調査して、居住地におけるPM2.5(記事の最後で説明)の濃度と死因との関係を調べました。

結果
PM2.5の濃度が10μg/m増加するごとにガン(種類は問わない)で死亡するリスクが22%増加していました。 ガンの種類別では、この数字は次のようなものでした:

ガンの種類 リスク増加度
上部消化管(*)のガン 42%
付属消化器官(†)のガン 35%
女性の乳ガン 80%
男性の肺ガン 36%

(*) 食道・胃・十二指腸。

(†) 膵臓・肝臓・胆嚢・胆管など。

分析においては、追跡開始から3年以内の死亡を除外し、喫煙習慣などの交絡要因を考慮しました。

解説
研究者によると、今回の結果は世界各地の他の都市にも当てはまる可能性があります。 PM2.5によりガンのリスクが増加する理由としては以下が考えられます:
  • PM2.5によりDNA修復機能が壊れる。
  • PM2.5により免疫反応に異常が生じる。
  • PM2.5により生じた炎症が血管新生(*)を引き起こす。
    (*) 血管が新たに成長して腫瘍が広がる。
また消化器のガンについては、重金属汚染が腸内細菌に作用してガンの発症に影響している可能性が考えられます。
PM2.5について

PM2.5とは粒子径が2.5μm以下の粒子状物質(Particulate Matter)のことで、日本語では「微小粒子状物質」とも呼ばれます。

PM2.5の発生源は火力発電所・工場(ディーゼルとガソリン両方)・自動車・バイクの排気ガス、道路・タイヤ・ブレーキの磨耗により生じる粉塵、焚き火~森林火災などです。 PM2.5は交通や産業活動が活発な地域における主要な大気汚染物質であり、そのような地域の住人全員の健康に大きく影響します。

PM2.5はサイズが小さいため、肺の奥深くにまで入り込んで有害性を発揮します。 PM2.5により心臓発作・脳卒中・肥満・糖尿病・肺ガンなどのリスクが増加すると考えられます。

10μg/mはどの程度?

各地域のPM2.5濃度は環境省が運営する「そらまめ君」や、「PM2.5まとめ」で知ることができます。

日本のPM2.5の濃度の範囲は一般的に0~50μg/m3程度で、ちょっとした地域の違いや時間帯の違いで数十程度は10μg/m3値に違いが出るようです。 つまり、PM2.5に関して10μg/m3という数字は大きな数字ではないというわけです。
2016年5月2日の時点で山口県彦根のPM2.5濃度が455μg/m3という異常な数値なのですが、何があったのでしょうか?