大気汚染で心臓発作のリスクが増加

2013年10月に開催された Acute Cardiovascular Care Association の会合で発表されたイタリアの研究によると、大気汚染によって心臓発作のリスクが増加します。

研究の方法
心臓イベント(急性冠動脈症候群、急性心不全、悪性心室性不整脈、および心房細動)で入院した患者のデータと、イタリアのブレスキア市における PM10 のデータ(2004~2007年)を調査しました。 ブレスキア市は工業地帯にあるため、PM10 の1日の平均値が EU の安全基準値を超えています。
PM10
PM10 とは、大気中に浮遊する粒子状物質のうち、粒子径が10μm以下ほどのものを指します。 PM10 は大気汚染の一般的な指標として用いられます。 粒子径が2.5μm以下程度のものは PM2.5(微小粒子状物質)と呼ばれます。
結果
調査の主な結果は次の通りです:
  • 大気中の PM10 の量が10μg増加するごとに、心臓イベントによる入院件数が3%増加していた。
  • 特に65歳以上の高齢者および男性で、大気汚染による不整脈、心房細動、急性冠動脈症候群のリスク増加が顕著だった。 この点に関して研究者は、加齢によって心臓や血管などが弱くなるためではないかと考えています。
  • PM10 の心血管への悪影響は、過去に心血管イベント(心臓発作や脳卒中のことでしょう)で入院したことのある人で顕著だった。 PM10 の大気中の濃度が高い期間における入院率が、心血管イベントの病歴のある人で特に増加していた。
コメント
研究者は次のように述べています:

「欧米の過去の研究にも、特に PM10 による大気汚染が、呼吸器疾患だけでなく急性の心血管イベントや死亡にも関与していることを示したものが複数あります。 これらの研究によって、PM10 が炎症や血液凝固など心臓に良くないプロセスを引き起こすという仮説が裏付けられています」

「EU では PM10 の安全基準を1立方メートルあたり 50μg未満と定めていますが、PM10 による心血管系(心臓や血管)への悪影響は、この安全基準値以下でも生じる可能性があります」

「50μg/m3という現在の安全基準値が、心臓疾患による入院件数の増加が既に見られる水準であることから、安全基準値を少なくとも 20~30μg/m3 程度、出来ればそれ以下にまで引き下げることが必要だと考えられます。 基準値を下げれば下げるほど、心臓疾患のリスクも下がるはずです」