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大気汚染で死亡リスクが増加するのは肺ガンだけではありません

(2017年11月) これまでの研究で大気汚染により肺ガンで死亡するリスクが増加することが示されていますが、"Environmental Health Perspectives" に掲載されたオタワ大学などの研究で、大気汚染により肺ガン以外のガンの死亡リスクも増加することが示されました。

研究の方法

米国に住む成人男女60万人超を対象に、居住地における大気汚染物質(PM2.5・二酸化窒素・オゾン)の長期的な濃度を調べたのち、肺ガンを除く各種のガンによる死亡の状況を22年間にわたり追跡調査しました。

結果

追跡期間中に肺ガン以外のガンで4万3千人超が死亡しました。

PM2.5

PM2.5の大気中濃度が4.4μg/m3増加するごとに、腎臓ガンで死亡するリスクが14%および膀胱ガンで死亡するリスクが13%増加していました。 大腸ガンのリスクも4%増えていましたが統計学的な有意性が微妙(95% CI: 1.00, 1.08)でした。

二酸化窒素

二酸化窒素(NO2)の大気中濃度が6.5ppb増加するごとに、大腸ガンで死亡するリスクが6%増加していました。

オゾン

オゾンの大気中濃度が6.9ppb増加するごとに、胃ガンで死亡するリスクが10%、膵臓ガンで死亡するリスクが9%、および白血病で死亡するリスクが8%低下していました。

その他のガン

口腔内・喉・肝臓・胆嚢・鼻・皮膚・骨・乳・子宮・卵巣・前立腺・眼・脳・甲状腺に生じるガンや、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫と大気汚染の程度との間には統計学的に有意な関係が見られませんでした。

類似研究

  • "Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention" 誌(2016年)に掲載されたバーミンガム大学などの研究では香港に住む65才以上の男女6万6千人ほどを10年超にわたり追跡調査して、PM2.5の濃度が10μg/m3増加するごとに10年間のうちに各種のガンで死亡するリスクが22%増加するという結果になっています。 この数字は乳ガンに限ると80%、消化管のガンに限ると42%、膵臓・肝臓・胆嚢・胆管などのガンに限ると35%、肺ガン(男性)に限ると36%でした。
  • "BMJ Open"(2016年)に掲載されたイタリア国立がん研究所の研究では、PM2.5の汚染が最もひどい地域に住む乳ガン患者は、PM2.5の汚染が最も軽微な地域に住む乳ガン患者に比べて、乳ガンで死亡するリスクが1.7~1.8倍だという結果になっています。

大気汚染物質について

二酸化窒素は大気汚染の指標の1つで、自動車やバイクなどの排気ガスに由来します。

PM2.5とは粒子径が2.5μm以下の粒子状物質(Particulate Matter)のことです。 PM2.5の発生源は火力発電所・工場・自動車・バイク・焚き火~森林火災などです。

オゾンは自動車の窒素酸化物に日光が当たることで生じます。 オゾンはオゾン層においては地球上の生物を紫外線から保護する役目を果たしますし、殺菌・脱臭などの用途や医療用にも用いられますが、大気汚染物質としてのオゾンは健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。