空気清浄機に大気汚染物質を減らす効果。 健康にも有益

(2017年8月) "Circulation" 誌に掲載された復旦大学(中国)の研究によると、大気汚染が健康に及ぼす悪影響を空気清浄機で軽減できるかもしれません。

研究の方法

中国の上海に住む健康な大学生55人を被験者とするクロスオーバー試験(*)で、本物の空気清浄機と偽物の(フィルターを備えていない)空気清浄機を大寮の部屋に9日間ずつ設置しました。 本物の空気清浄機を設置する9日間と偽物の空気清浄機を設置する9日間のあいだには12日間の空白期間を設けて、最初の9日間が次の9日間に影響しないように計らいました。
(*) すべてのグループがすべての選択肢(例. 薬を飲む場合と飲まない場合)を経験する試験。

そして学生たちから血液と尿のサンプルを採取して、その成分を検査しました。

結果

PM2.5(後述)への曝露量(どれだけの量のPM2.5にさらされるか)の平均値が、偽の空気清浄機を使用したときには53μg/m3であったのに対して、本物の空気清浄機を使用したときには24μg/m3にまで下がっていました。

本物の空気清浄機のおかげでPM2.5の曝露量が下がったときのほうが、ストレス・炎症・酸化ストレスの程度を示す血中物質の濃度のほか、血圧とインスリン抵抗性が低くなっていました。 血糖値やコレステロール値などにも違いが見られました。

留意点

今回の試験は短期間なうえに被験者数も少なかったので、実際の生活において空気清浄機が今回の試験で示されたのと同じ有益性を発揮するかどうかは不明です。

また、中国は大気汚染がひどい国なので、大気汚染がもっと軽度な他の国では空気清浄機の意義が少ないかもしれません。 とは言え、日本でも地域や時期によってはPM2.5の濃度が50μg/m3を超えることがあります。

日本の各地域のPM2.5濃度は環境省が運営する「そらまめ君」や、「PM2.5まとめ」で知ることができます。

PM2.5について

PM2.5とは粒子径が2.5μm以下の粒子状物質(Particulate Matter)のことで、日本語では「微小粒子状物質」とも呼ばれます。

PM2.5の発生源は火力発電所・工場(ディーゼルとガソリン両方)・自動車・バイクの排気ガス、道路・タイヤ・ブレーキの磨耗により生じる粉塵、焚き火~森林火災などです。 PM2.5は交通や産業活動が活発な地域における主要な大気汚染物質であり、そのような地域の住人全員の健康に大きく影響します。

PM2.5はサイズが小さいため、肺の奥深くにまで入り込んで有害性を発揮します。 PM2.5により心臓発作・脳卒中・動脈硬化・高血圧・肥満・糖尿病・肺ガン・乳ガン(発症リスクと死亡リスク)・腎臓病などのリスクが増加する恐れがあります。