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航空機の騒音により血圧・血管・心臓に問題が生じやすくなる

(2016年6月) "EuroPRevent 2016" にて発表されたヤギェウォ大学(ポーランド最古の大学)の研究によると、航空機の騒音に長期間にわたり悩まされている人は高血圧になったり心臓・血管に異変が生じたりするリスクが増加します。

研究の方法

60デシベル超の航空機の騒音に3年を超えてさらされていたグループ(101人)と、55デシベル未満の航空機の騒音に3年を超えてさらされていたグループ(100人)とで、血圧や心臓・血管の状態を比較しました。

合計201人の年齢は40~66才で、2つのグループは性別と年齢において釣り合いが取れていました。

結果
高血圧の罹患率

60デシベルを超える航空機騒音に悩まされていたグループは、騒音が55デシベル未満だったグループに比べて高血圧を患っている人の率が高くなっていました。 騒音が55デシベル未満だったグループで高血圧の罹患率が24%だったのに対して、騒音が60デシベルを超えるグループでは実に40%が高血圧だったのです。

血圧への悪影響

収縮期(最高)血圧と拡張期(最低)血圧も騒音が60デシベルを超えるグループの方が高くなっていました。 (最高血圧: 138mmHgに対して146mmHg、最低血圧: 79mmHgに対して89mmHg)

心臓と血管の異常
60デシベルを超える航空機騒音に悩まされていたグループは、騒音が55デシベル未満だったグループに比べて大動脈(左心室から出る最大の動脈)が硬く(*)、心筋重量(left ventricular mass)が重くなっていました(†)。 ただし、左心室の機能に異常が生じているかどうかは明確ではありませんでした。

(*) FWDと中心血圧(大動脈の血圧)から割り出した。

(†) 心筋重量の増加は心肥大ということらしいです(参考)。
コメント
研究者は次のように述べています:

「1960年代にジェット機が導入されて以来、航空機の交通量は急激に増加しています。 2013年における世界全体での発着回数は 6,400万回でしたが、この数字は今後20年間で倍増すると思われます」

「航空機交通量と空港が増加し、空港付近にも居住地が開発されるようになったために、航空機の騒音に苦しむ人の数は増加しています」

「これまでにも複数の研究で、ヘリコプターや飛行機の騒音により高血圧のリスクが増加したり、心血管疾患(心臓病や脳卒中)で入院することになるリスクが増加したりする恐れのあることを示されています」

「今回の研究では、空港付近に3年以上住んでいる人では血圧が上がったり高血圧になったりすることが多いという結果でした。 血圧に問題があると、大動脈と心臓がダメージを受けて心臓発作のリスクが増加する恐れがあります」

「EU(欧州連合)では加盟国に騒音の程度を把握および管理することを求めていますし、各国も航空機騒音を規制する法律を制定しています。 例えばポーランドでは、航空機の騒音を学校・病院の周辺では55db以下、その他のエリアでは60db以下に抑えることを義務付けています」

「航空機騒音をこの水準に抑えるには、騒音抑制仕様の航空機を用いる・航路に配慮して航空機を住宅地から遠ざける・夜間の飛行を制限するなどの工夫が必要となります」

「航空機騒音を規制する努力がもっと必要です。 航空機騒音が健康に悪影響を及ぼすためです。 航空機騒音による体に悪影響が生じるメカニズムについてももっと研究が必要です」
日本の航空騒音の現状

例えば市街地の真っ只中に位置する大阪国際空港(伊丹空港)の場合、空港から相当に離れた尼崎市北部でも飛行機の騒音が65dbを超えています(参考)。

そして近年では騒音が少ないということで、大阪国際空港の小型機の発着回数が増やされていますが、体感的には小型機の騒音が少ないわけでは決してありません。 騒音のタイプが違うだけで、ジェット機もプロペラ機も全部うるさいのです。

伊丹空港の飛行機は午前7時過ぎから離陸し始めます。 そして、朝方に離陸本数が集中しているので朝に特にうるさく(数分おきに飛行機の騒音が聞こえる)、布団の中で心地よくまどろんでいても否応なく目覚めさせられます。 最近は近所で新築工事をしていて工事が朝早くから始まるので、その音もうるさくとても寝ていられません。 したがって夜中の2時に寝ても3時に寝ても、わたしの起床時間は午前7時台です。

尼崎市の航空騒音は飛行機だけではありません。 伊丹市には自衛隊の基地もあり、そこから飛来すると思われるヘリコプターが頻繁に爆音を響かせてやってきます。 部屋の戸が揺れるほどの振動で、絶対に65db以上はあります。 ときには衝撃波を感じるほどに低い高度で家の真上を通過されます。

伊丹空港から離陸する飛行機にしても、天候の都合か何か知りませんがやけに高度が低く騒音がうるさいことがあります。 以前、ジョギングの帰りに「やけに飛行機の高度が低いなー」と思ってたら、自転車を押しながら後ろを歩いていた主婦2人組みも「あの飛行機めっちゃ低くない?」と会話をしていたので、わたしの気のせいではありません。

以上から日本は、まだまだ航空機騒音規制後進国です。 ヘリコプターも含めて航空機騒音を撲滅するための抜本的な改革が必要だと言えるでしょう。

女性専用車両ができたり路上喫煙が禁止されたりと繊細になってゆく世の中において、騒音問題だけは、数十年前と比べて(少なくとも体感的には)まったく規制が厳しくなっておらず野放しです。 バイクや原付の騒音にしても、数十年前に比べて少しはマシになっているのでしょうか?