適量の飲酒に甲状腺ガン予防の効果。 しかし、アジアの研究では...

(2016年7月) "Oncotarget" 誌に掲載された中国の研究(メタ分析)によると、飲酒習慣があると甲状腺ガンのリスクが低下します。 ただし、アジアで行われた研究に限って分析すると、飲酒習慣により甲状腺ガンのリスクが低下するとは言えない結果でした。 出典: A meta-analysis of alcohol consumption and thyroid cancer risk

研究の方法

飲酒習慣と甲状腺ガンのリスクとの関係を調べた24の研究(コホート研究とケース・コントロール研究)のデータを分析しました。 データに含まれる甲状腺ガンの発生件数は 9,990件でした。

データはアルコールの摂取量に応じて次の4つに分類されました:
  1. 飲酒習慣が無いグループ
  2. 飲酒量が1日あたり12.5g(*)以下のグループ(少量の飲酒)
    (*) 1杯程度。
  3. 飲酒量が1日あたり12.5g超~50gのグループ(中程度の飲酒)
  4. 飲酒量が1日あたり50g超のグループ(大量の飲酒)
結果
飲む vs. 飲まない

飲酒習慣が無い場合に比べて、飲酒習慣がある場合には甲状腺ガンのリスクが20%低くなっていました。

グループ別の比較

飲酒習慣が無いグループに比べたときの甲状腺ガンのリスクが、飲酒量が少量のグループでは19%、飲酒量が中程度のグループでは29%、それぞれ低くなっていました。

大量に飲酒するグループについてはデータ不足のため不明ですが、用量反応分析では、飲酒量が多いほど甲状腺ガンのリスクが下がるとは言えないという結果になっています。

アジア人の場合

アジアで行われた4つの研究のデータだけに限って分析すると、残念なことに飲酒習慣があっても甲状腺ガンのリスクは下がらないという結果でした。 4つの研究のうち日本で行われたのは2つで、そのうちの一方では飲酒により甲状腺ガンのリスクが下がっていました(-29%)が、もう一方では統計学的に有意なリスクの低下が見られませんでした。

アジアの研究で飲酒による甲状腺がんリスクの低下が認められなかった理由について研究チームは、以下を挙げています:
  • お酒の種類の違い
  • 生活習慣の違い
  • アルコールの代謝に関わる遺伝子の違い