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アルコールは腸内細菌を介して間接的にも肝臓にダメージを及ぼす

(2016年2月) "Cell Host & Microbe" 誌に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究によると、アルコールは直接的に肝臓の細胞を傷付けるだけでなく、腸内細菌の肝臓への移動を介して間接的にも肝臓にダメージを及ぼします。 出典: Alcohol Also Damages the Liver by Allowing Bacteria to Infiltrate

REG3レクチン

研究チームは以前の研究で、腸内に存在するREG3レクチンの量が慢性的な飲酒により減少することを明らかにしています。 REG3レクチンは体内に自然に存在するタンパク質で、主としてグラム陽性菌に対する抗菌作用を有しています。

研究の概要
今回の研究ではマウス実験などにより、REG3γ(*)の不足によりアルコール性肝疾患(肝硬変の前段階)の進行が促進されることが明らかになりました。
(*) "REG3 Deficiency Impairs Pancreatic Tumor Growth..." (リンク先はPDFファイル)によると、REG(Regenerating islet-derived protein)には1~4までがありREG3はそのうちの1つです。 そしてREG3にはα、β、およびγの3種類が存在します。 (REG3δというのも検索で見つかりました)
REG3γを除去すると

REG3γが欠如するように遺伝子改造されたマウスに8週間にわたってアルコールを与えたところ、REG3γを持つ普通のマウスに同量のアルコールを与えた場合に比べて、腸内細菌が腸から肝臓へと移動することが増えました。 REG3γを持たないマウスはアルコール性肝疾患の程度も普通のマウスより重症でした。

REG3γを増やすと

腸の内壁の細胞を用いた実験でREG3γ遺伝子のコピーを増強してみたところ、REG3γが増えることによって細菌の増殖が抑制されました。 さらに、マウス実験で(REG3γを持たないマウスの)REG3γを回復してやると、アルコール性肝疾患が抑制されました。

アルコール依存症の人はREG3γが少ない

アルコール依存症の人の小腸から採取した組織は健常者の小腸から採取した組織に比べてREG3γの量が少なく、小腸の組織に増殖している細菌の量が多くなっていました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「アルコールは体が体内に存在する微生物を管理下に置いておく能力を損なうように見受けられます。 このバリアが崩壊すると通常は肝臓に定着しない細菌が肝臓に到るようになります。 今回の研究では、このような細菌の移動がアルコール性肝疾患を促進することが明らかになりました」
「コメント」の解説

1行目から2行目にかけて意味がわかりにくいですが、アルコールによって腸管バリア機能が破壊されるために腸内細菌が腸内から流出するという意味でしょう。 (参考記事: 大量飲酒で腸内細菌が腸から漏れ出す

REG3と腸管バリアとの関係についてプレスリリースでは触れられていませんが、"IL-22 modulates gut epithelial and immune barrier functions..."に「インターロイキン22によりREG3の発現が回復し、腸管透過性の増大が阻止された」とあるので、REG3は腸管バリアの維持に一役買っているのでしょう。