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飲酒が免疫系にもたらす悪影響は高齢者で顕著

(2016年6月) "39th Annual Research Society on Alcoholism" にて発表されたコロラド大学デンバー校の研究によると、高齢者では飲酒の免疫系への悪影響が劇的に増加し、肺炎などの感染症に対抗する能力が低下します。出典: “Inflamm-Aging:” Alcohol Makes It Even Worse

飲酒が免疫系に悪影響
研究者は次のように述べています:
「高齢になると健康なときにも炎症が増加しています。 この高齢者における炎症の増加のことをインフラメージング(inflamm-aging)と言います。 インフラメージングのために高齢者は怪我をしたり感染症にかかったときの予後が良くない傾向にありますが、飲酒は高齢者の弱った免疫力をさらに弱めます 」
別の研究者は次のように述べています:
「今回の研究では、飲酒によって高齢者の免疫系が全身的および局所的(肺・肝臓・腸など)に撹乱されることが示されました。 具体的には、(Ⅰ)アルコールにさらされたマクロファージ(大食細胞)(*)で①病原体を排除する効率と②他の免疫細胞を感染箇所に呼び込むうえで重要な役割を果たしている分子を放出する能力が低下すること、そして(Ⅱ)高齢者においてはアルコールがこのようにマクロファージに及ぼす悪影響が増大することが示されました」
(*) 白血球の一種で、病原菌を取り込んで殺傷したり死んだ細胞を除去したりする以外に、炎症を引き起こしもする。

飲酒による免疫系への悪影響は、なんらかの慢性疾患を抱えている高齢者や、薬を服用している高齢者ではさらに増大します。

飲酒が影響するのは自然免疫機能

免疫機能には自然免疫と獲得免疫の2種類があります(*)が、飲酒で損なわれるのは自然免疫のほうです。

エタノール(お酒に含まれるアルコール)は自然免疫細胞に直接的に作用するため、マクロファージはエタノールに短期間さらされただけで、感染箇所に移動する能力も病原体を破壊する能力も低下してしまいます。 そして高齢者はインフラメージングなどのために、若い人よりもアルコールのこのような悪影響が増大します。

(*) 免疫細胞には自然免疫細胞と獲得免疫細胞の2種類が存在し、これらが力を合わせて感染症から体を守っています。 病原体を排除しようと速やかに動くのが好中球やマクロファージなどの自然免疫細胞です。

T細胞やB細胞などの獲得免疫細胞は動き出すのは遅いのですが、その時点で脅威となっている病原体に特化しているために当該の病原体を排除する能力は自然免疫細胞よりも優れています。