コンテンツの利用をお考えの方は引用・転載をするときのルールをご確認ください。
Copyright (c)2013-2017 最新健康ニュース All Rights Reserved.

既存の薬に、円形脱毛症の原因となるT細胞をブロックする効果

(2014年8月) コロンビア大学の研究グループが、円形脱毛症の患者において毛包が破壊される原因となっている免疫細胞を特定し、さらに米国食品医薬局(FDA)が承認済みの薬を用いて当該の免疫細胞を除去し、頭髪の成長を回復することに成功しました。

今回の論文は、中~重度の円形脱毛症の患者に対するJAK(ヤヌス・キナーゼ)阻害薬の効果を調べるための臨床試験の途中経過を報告したもので、"Nature Medicine" 誌オンライン版に掲載されました。
円形脱毛症

円形脱毛症とは、円形に脱毛が生じる自己免疫疾患のことです。 この疾患になりやすい年齢や性別というのは特にありません。 円形脱毛症は、頭髪に生じることが多いのですが、顔などの体毛に生じることもあります。

円形脱毛症になると、ストレスを感じたり、感情的に苦しんだりします。 毛髪を完全に回復できる治療法は現時点では存在しません。
これまでの経緯

円形脱毛症が自己免疫疾患であって、免疫系が毛包の基部を包囲および攻撃するために円形脱毛症が生じ、髪の毛が抜け落ちたり(毛包が)休眠状態に入ったりすることは数十年前から知られていました。 しかし、 免疫系のうちのどの免疫細胞が毛包を攻撃しているのかは謎でした。

今回の臨床試験のリーダーの一人であるクリスティアーノ博士が4年前に行った研究では、円形脱毛症患者では毛包が「危険信号」を発するために免疫細胞が毛包に引き寄せられて、これを攻撃していることが示されています。

今回の論文の内容

今回の論文では、毛包を攻撃しているのがT細胞の一種であることと、このT細胞の働きを JAK阻害薬という新種の薬で阻害できる可能性を述べたうえで、マウス実験の結果とヒトを対象とする臨床試験の途中経過が報告されています。

マウス実験ではルクソリチニブ(骨髄増殖性腫瘍の治療薬)とトファシチニブ(リウマチの治療薬)という2種類のJAK阻害薬の円形脱毛症への効果を調べ、臨床試験ではルクソリチニブの効果を調べました。

その結果、実験と試験の両方において、JAK阻害薬を単独で用いて当該のT細胞の働きをブロックして毛包を守ることに成功しました。

マウス実験では、広範囲に円形脱毛症が生じているマウスに対してルクソリチニブまたはトファシチニブを用いました。 その結果、12週間以内に毛髪が完全に回復しました。 ルクソリチニブとトファシチニブのいずれも、長期間にわたって効果が持続し、薬の投与を停止してからも数ヶ月は生えた毛が残っていました。

ヒトの臨床試験では、中~重度の(頭髪の30%超が失われている)円形脱毛症患者数名(具体的な人数は不明。 "several" とあるので4~6人くらい?)を対象に、FDAが承認済みであるルクソリチニブを用いた小規模な非盲検試験を行いました。 その結果、治療開始から4~5ヶ月のうちに3人の患者において、毛包を攻撃していた T細胞が頭皮から消滅し頭髪が完全に回復しました。