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既存の薬に円形脱毛症の原因となるT細胞をブロックする効果②

(2015年10月) 既存の薬に円形脱毛症の原因となるT細胞をブロックする効果があるというニュースが 2014年8月に出ていますが、同じコロンビア大学の研究チームがその研究の続きを "Science Advances" 誌に発表しています。

新しい発見
目新しいニュースは、JAK阻害薬をマウスに経口投与したときよりも皮膚に直接塗ったときの方が生える毛の量が多かったという点です。 このことから、JAK阻害薬が免疫系による毛包への攻撃を阻害するだけでなく、毛包に対しても直接的な作用を及ぼすのだと考えられます。
円形脱毛症は自己免疫疾患で免疫細胞であるT細胞が毛包を攻撃することで発症します。 JAK阻害薬はこのT細胞の働きを阻害します。
毛包への直接的な作用

通常のマウスの毛包に注目して調べてみたところ、JAK阻害薬により休眠状態にある毛包が速やかに休眠状態から目覚めることがわかりました。 毛包は毛髪を四六時中作り続けているわけではなく休眠フェーズと毛髪育成フェーズとを繰り返しており、JAK阻害薬によってこのサイクルが正常化されるというわけです。

JAK阻害薬を皮膚に直接塗られたマウスの発毛効果を比較

2種類存在するJAK阻害薬のうちの一方をマウスに塗るという実験を行ったところ、毛包の育成フェーズが大いに促進されて10日間のうちに新しい毛が生え始めました。 何も塗らなかった比較対照用のマウスには、同じ期間中に全く毛が生えませんでした。

ヒトの皮膚にJAK阻害薬を塗るという試験はまだ行われていませんが、ヒトの毛包細胞を用いた生体外実験や、マウスに毛包を備えたヒトの皮膚を移植して行った実験でも、JAK阻害薬の効果が確認されました。

壮年性脱毛症への効果は不明

壮年性脱毛症については、JAK阻害薬を塗って毛包を目覚めさせることが出来るかどうかは不明です。 壮年性脱毛症ではアンドロゲン(男性ホルモン)が原因で毛包が休眠状態になります。

商品化
今回の発見は、研究者が設立した Vixen Pharmaceuticals, Inc という会社により商品化される予定ですが、直ちに商品化されるわけではありません。 JAK阻害薬を塗って使用する場合の効果を調べる臨床試験を行ったり、頭皮専用のJAK阻害薬の効果を調べたりする必要があります。