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既存の薬に、円形脱毛症の原因となるT細胞をブロックする効果③

(2016年9月) 「JAK阻害薬」と呼ばれる既存の薬が円形脱毛症の治療に有効であるという研究をコロンビア大学の研究チームが進めていますが、このJAK阻害薬の一種であるルクソリチニブを用いた小規模な臨床試験の結果が "Journal of Clinical Investigation/Insight" に報告されています。

研究の方法
中~重度の(*)円形脱毛症の患者12人を被験者として、ルクソリチニブ(骨髄増殖性腫瘍の治療薬)の円形脱毛症への効果を調べるオープン・ラベルの(プラシーボを用いない)臨床試験を行いました。
(*) 毛髪の喪失度が30%超。

被験者はいずれも、ルクソリチニブ20mgを1日2回(計40mg/日)3~6ヶ月間にわたって服用しました。 服用期間を終えた後も、薬の効果の持続性を確認するために3ヶ月間の追跡調査を行いました。

結果

12人のうち9人において、髪の毛が50%以上再生されました。 この9人のうち6人では、薬を服用するうちに毛髪が95%回復しました。

服用期間が終了した後の3ヶ月間において、9人中3人で回復した毛髪が再び失われました。 ただし、この3人においても、薬を服用する前よりもハゲが進行するということはありませんでした。

皮膚の生検
薬を服用する期間の前後および最中に被験者たちの皮膚の生体組織検査を行ったところ、薬が効いた被験者では(薬の服用により)、インターフェロンのシグナル伝達(*)と細胞傷害性T細胞(*)が減る一方で毛髪特異型ケラチン(†)が増え、これらの水準が髪の毛が普通に生えている健常者と同程度となりました。

(*) 炎症反応の指標。

(†) 毛髪再生の指標。
効く人と効かない人

ルクソリチニブを服用して円形脱毛症が治るかどうかは、服用開始前の炎症の程度で判別できる可能性があります。 ルクソリチニブが効かなかった被験者は、服用開始前に炎症の指標が低い水準にありました。

副作用

深刻な副作用が生じた被験者はいませんでした。 細菌による皮膚の感染症・皮膚アレルギー・ヘモグロビン値の低下といった副作用が確認されましたが、こうした副作用にしてもそう多くは生じず、用量を調節することで解消されました。

今後

大規模な臨床試験を繰り返して今回の結果を確認する必要があります。

類似研究
"Journal of Clinical Investigation/Insight" に同時掲載されたスタンフォード大学とイェール大学による研究では、ルクソリチニブと同じJAK阻害薬であるトファシチニブ(リウマチの治療薬)が中~重度の円形脱毛症の治療に有効であるという結果になっています。