アルツハイマー病の初期患者は血液脳関門の浸漏がひどい

(2016年5月) "Radiology" 誌に掲載されたマーストリヒト大学の研究により、アルツハイマー病の初期患者は血液脳関門(BBB)の浸漏(leakage)が健常者よりも重度であることが明らかになりました。

BBBとは
BBB(Blood Brain Barrier)とは脳の血管の血管壁に見られる細胞構造のことで、脳を血流から隔てて健全な状態に維持する役割を果たしています。 BBBの役割は具体的には次のようなものです:
  1. 必要な栄養を脳に送り届ける。
  2. 脳内で過剰となった物質を除去する。
  3. 有害な毒素が脳に入り込まないようにする。
研究の方法

造影MRIを用いて、アルツハイマー病患者16人の脳と同年代の健常者17人の脳とで、BBBの浸漏速度と浸漏している範囲を比較しました。

結果

アルツハイマー病患者の方がBBBの浸漏が速く、さらに浸漏箇所が大脳全体に広がっていて、健常者に比べて脳の灰白質(大脳皮質など)のうち浸漏が見られる部分の割合が高くなっていました。 (アルツハイマー病患者では)脳の白質においても、非常に微妙なBBBの欠損が見られました。

解説

BBBが浸漏しているということは、脳を保護するメカニズムが壊れて、脳細胞の安定性が損なわれ神経細胞が活動する環境が悪化しているということです。 したがってBBBの浸漏を放置していると、やがては脳が機能不全を起こします。

今回の研究でも、BBBの浸漏の程度と認知機能の衰え方の間に関係が見られました。 アルツハイマー病の症状の一部はBBBの浸漏によるものだと思われます。