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遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い人は運動するしかない

(2014年4月) "Frontiers in Aging Neuroscience" に掲載されたメアリーランド大学などの研究によると、高齢者の中でもアルツハイマー病のリスクが高い人は、中程度の強度の運動を日常的に行うことで、脳の領域の中でもアルツハイマー病の影響が真っ先に現れる海馬という器官の縮小を防止できると考えられます。 海馬は記憶や方角の認識などを司っています。

研究の方法
認知機能が正常な65~89才の高齢者たちを、「APOE-e4 対立遺伝子」の有無および運動習慣の程度によって4つのグループに分類し、MRI という機械を用いて海馬の容積を測定しました。 そして、18ヵ月後に再び MRI で海馬の容積を測定しました。(18ヶ月間という期間における海馬のサイズの変化が遺伝子と運動習慣の違いによってどう異なるかを調べた)
APOE-e4 対立遺伝子
第19染色体に APOE-e4 対立遺伝子の一方または両方が存在している人では、アルツハイマー病を発症するリスクが増加します。 APOE-e4 対立遺伝子の有無はDNA 検査で調べます。
グループ分け
今回の研究における運動量による分類は次の通りです:
  • 低強度の運動を週に2日以下しか行わない人 - 「低運動量」
  • 中~高強度の運動を週に3日以上行う人 - 「高運動量」
したがって、「4つのグループ」というのは次のようになります:
  1. APOE-e4 対立遺伝子があり、低運動量のグループ
  2. APOE-e4 対立遺伝子がなく、低運動量のグループ
  3. APOE-e4 対立遺伝子があり、高運動量のグループ
  4. APOE-e4 対立遺伝子がなく、高運動量のグループ
結果

4つのグループの中で、1のグループ(遺伝子的にアルツハイマー病のリスクが高いうえに運動量も少ない)でのみ、18ヶ月間で海馬の容積が(おそらく平均で)3%減少していました。 3のグループ(遺伝子的にアルツハイマー病のリスクが高くても運動量が多い)では海馬の容積は減っていませんでした。

解説
研究者は次のように述べています:

「人はみな加齢によって脳の容積が減少しますが、遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い人では海馬の萎縮が顕著です。 ただし、このような人でも運動習慣によって遺伝性の神経変性を防止できると考えられます」

「今回の研究では、アルツハイマー病のリスクが高い人でも、運動によって認知機能の衰えや認知症の発症を遅らせられる可能性が示されました。 運動習慣によるアルツハイマー病予防効果は、遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い人で特に有効だと思われます」

今回の研究者は 2013年に、運動によって軽度認知症患者の記憶力が改善するという研究を発表しています。

2014年2月にウォーキングをする中高年では海馬が萎縮しないどころか増量するという研究を発表したピッツバーグ大学の研究者は次のようにコメントしています:
「遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い人では、運動以外に海馬の容積を維持する方法は知られていません。 このような人が認知症を発症する前に何が出来るかという問題に関して、この研究は非常に有意義です」
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