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アミロイドβによる脳の炎症で異常が起こるタンパク質の種類が明らかに

(2014年1月) "Nature Neuroscience" 誌に掲載された Cleveland Clinic の研究で、アルツハイマー病の患者に見られる記憶喪失おいて重要な役割を果たしているタンパク質が特定されました。

このタンパク質は "Neuroligin-1(NLGN1)" と呼ばれるもので、記憶の形成に関与していることが知られています。 NLGN1 のアルツハイマー病による記憶喪失への関与は、この研究で初めて示されました。

アルツハイマー病では、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積して炎症を引き起こしますが、この炎症がある種の遺伝子改変を引き起こし、それが原因で脳のシナプス(神経細胞間の情報伝達部)の機能が阻害されて記憶喪失が生じます。

今回の研究では、このような神経炎症プロセスの最中に NLGN1 に後成的(エピジェネティック)な改変が生じ、これによって脳のシナプス網が撹乱(かくらん)されていることが動物実験によって明らかになりました。 シナプス網は記憶の形成・維持に必要であり、シナプス網が破壊されるとアルツハイマー病患者に見られるタイプの記憶喪失につながる可能性があります。

治療法の方が先に特定済み

この研究グループは過去の研究で、遺伝子改変(今回の研究で NLGN1 に生じることが明らかになった)の原因となる神経炎症プロセスを阻止できる可能性のある MDA7 という新種の化合物を特定しています。

研究グループは動物実験により、MDA7 に認知能力・記憶力・シナプスの可塑性を回復させる作用があることを確認しています。 認知能力・記憶力・シナプスの可塑性は学習と記憶における重要な要素です。

研究グループは近々、MDA7 のフェーズ I 臨床試験を行い MDA7 の安全性を確認する予定です。