「最新健康ニュース」のコンテンツを閲覧以外で利用する方は「引用・転載・ネタ探しをするときのルール」をご覧ください。

アルツハイマー病の端緒となるのはタウ・プロテイン

(2014年11月) "Molecular Neurodegeneration" 誌に掲載されたジョージタウン大学の研究によると、アルツハイマー病などの原因となる神経細胞の死滅の端緒となるのはアミロイドβ(=βアミロイド)ではなくτ(タウ)プロテインです。

今回の発見は、アミロイドβのプラークが蓄積しているにも関わらず認知症を発症しない人が存在する理由の説明となります。

τプロテインの異常

τプロテインは、脳の神経細胞の内部において線路のような構造を有し、不要で有害なタンパク質(アミロイドβなど)を神経細胞が排除できるようにするという役割を果たしています。 そしてτプロテインが機能不全を起こすと、神経細胞は死滅してしまいます。

τプロテインの異常は、遺伝子の異常または加齢により起こります。 一部のτプロテインが機能不全を起こしても、正常なτプロテインが十分に残っていれば不要物は神経細胞外へと排除されます。 このような場合には神経細胞は死滅しません。 プラークが蓄積しているのに認知症になっていない高齢者が存在するのは、このような理由によるものだと思われます。

解説
研究者は次のように解説しています:
「τプロテインに異常が生じると、アミロイドβなどのタンパク質が神経細胞内部に蓄積します。 神経細胞は、これらの有害なタンパク質をできる限り細胞外間隙(細胞外空間)へと排除しようとしますが、アミロイドβはネバネバしているので凝集して(細胞外で)プラークを形成します」
研究者によると、ここで問題となるのは細胞外に凝集したプラークではなく、排除されずに神経細胞内に残っているアミロイドβです。 これが神経細胞を破壊します。
「τプロテインが機能しないと、神経細胞はアミロイドβや機能不全を起こしてもつれ合ったτプロテインなどの不要物を取り除くことが出来ずに死滅してしまいます。 そうして死滅した神経細胞から排出されていたアミロイドβはプラークとなって神経細胞の死滅後にも残ります」
他の成果

今回の研究では動物実験により、τプロテインが正常に機能している場合には神経細胞の外部に蓄積するプラークの量が少ないことも示されました。 τプロテインを持たない神経細胞にτプロテインを再導入すると、プラークが増殖しなかったのです。

研究チームはさらに、ニロチニブという白血病の治療薬を用いて神経細胞による不要物除去を促進することにも成功しました。 ただし、ニロチニブが効果を発揮するには、神経細胞内のτプロテインに占める正常なτプロテインの比率が高くなくてはなりません。