(2017年7月) シャヒード・ベヘシュティー医科学大学( イラン)の研究チームが各種アミノ酸の摂取量と心血管疾患(心臓病や脳卒中)の発症リスクとの関係を調査した結果が、"Nutrition, Metabolism & Cardiovascular Diseases" 誌に掲載されています。
研究の方法
イランに住む男女 2,369人を対象に食生活に関するアンケート調査を実施してタンパク質とアミノ酸の摂取量を調べたのち、平均で6.7年間にわたり心血管疾患の発生状況を追跡調査しました。
そして、タンパク質やアミノ酸の摂取量に応じてデータを3つのグループに分類し、グループ間で心血管疾患になるリスクを比較しました。 データの分析においては、心血管疾患のリスクに影響する様々な要因を考慮しました。
アミノ酸の多くはタンパク質の形で食品中に含まれています。 食品中のタンパク質が胃腸で消化されてアミノ酸へと分解されます。 食品によって、各種アミノ酸をどのような割合で含有するかが異なります。
結果
タンパク質の摂取量と心血管疾患のリスクとの間に関係は見られませんでした。 タンパク質の平均摂取量は77g/日でした。
アミノ酸については次のような結果でした:- グリシン、システイン、アルギニン、およびトリプトファンの摂取量が多いと、心血管疾患のリスクが72%低かった。
- 硫黄を含有するアミノ酸(システインとメチオニン)の摂取量が多いと、心血管疾患のリスクが73%低かった。
- 心臓を保護する効果が期待されるアミノ酸(アルギニン、システイン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、チロシン)の摂取量が多いと、心血管疾患のリスクが74%低かった。
- ただしグルタミン酸に限って分析すると、摂取量が多い場合に心血管疾患のリスクが30%高かった。
- プロリンの摂取量が多いと、心血管疾患のリスクが33%高かった。
食品のアミノ酸含有量は、文部科学省の食品成分データベースで知ることができます。