アミノ酸(アルギニンとプロリン)が糖尿病患者の外傷治癒に有効である可能性

(2013年2月) "Regulatory, Integrative and Comparative Physiology" 誌に掲載されたフランスの研究により、アミノ酸(アルギニンとプロリン)を豊富に含む食事で外傷の治癒が促進されることが明らかになりました。

糖尿病の患者では足の潰瘍などの慢性的な外傷が問題であり、下肢切断の理由の80%を占めています。 これまでこのような傷の治癒を促進する方法に効果的なものはありませんでした。

研究の方法

18匹のネズミを3つのグループに分け、普通のエサ、プロテインの多いエサ、そしてアルギニンとプロリンというアミノ酸を強化したプロテインを多く含むエサのいずれかを与えるという実験を行いました。

実験期間の初日に、可哀相なネズミたちに傷を付け、傷口にスポンジを当てました。 このスポンジに傷を治す体液が染みこみます。 さらに、肌の再生と治癒の度合いを測るために、実験初日から実験の終わる5日目にかけてネズミの背中二箇所の皮膚の全層を除去するという拷問を行いました。

実験期間の終わりに、①ネズミの血液を分析して、血糖、インスリン、アミノ酸濃度を測定し、②背中の傷を検査して皮膚の再生具合と新しい血管の出来具合を調べ、そして③スポンジを回収してマクロファージを採取し、サイトカイン刺激と炎症誘発活性が生じているかどうかを分析しました。

結果

その結果、プロテインの多いエサを与えた2つのグループはいずれも、普通のエサのグループよりも窒素バランスが良好でした。 しかし、プロテインの多かった2つのグループの間でも、アルギニンとプロリンを強化したグループの方が5日目の時点で新しい血管が多く作られていました。 組織の成長に必要な栄養と酸素は血管で運ばれるため、傷の治癒において、新しい血管の生成というのは重要なのです。

さらに、アルギニンとプロリンを強化したエサを与えたグループでは他の2つのグループよりも、サイトカイン刺激と炎症誘発活性が少なくなっていました。 炎症は治癒プロセスを遅らせるため、サイトカイン刺激と炎症誘発活性が少ないというのは傷が治りやすいということです。

背中の皮膚の再生については、3つのグループの間に差は見られませんでした。

結論
今回の研究結果から、アルギニンとプロリンを多く摂取するのが、慢性的な外傷のある糖尿病患者にとって有益であることが示唆されます。