βアミロイドは悪者ではなかった?

(2013年4月) スタンフォード大学の研究によると、アルツハイマー病や多発性硬化症の特徴であるβアミロイドが、アルツハイマー病の原因ではなく結果である可能性があります。

完全長アミロイド形成タンパク質が、脳に損害を与えるためではなくて、脳を保護するために生産されているのではないかというのです。
完全長アミロイド形成タンパク質というのは、アミロイド前駆タンパク質(APP)のことでしょうか。 APPが断片化されてアミロイドβになるそうです。(ソース

具体的には、完全長アミロイド形成タンパク質がシャペロンタンパク質(他のタンパク質分子が正しく折りたたまれて正常に機能するのを助けるタンパク質)として作用し、損傷の生じた箇所から炎症や不適切な免疫反応に関与する分子を除去している可能性があります。

また、アミロイドを形成する分子は悪者扱いされていますが、体内には驚くほど大量に存在します。

研究者は次のように述べています:
アミロイドを形成する分子は体の損傷に反応して大量に作られます。 (こんなに大量に体内で生産されるものが)体に害をなすとは考え難い。 <中略> (こんなに大量に存在する)アミロイド形成分子を除去する治療法は、体の自然な機能を邪魔している可能性があります。
2つの研究

研究グループが、βアミロイドが有害ではないかもしれないと考えるに至った理由は2つの研究でした。

1つ目は、2012年の8月に発表されたもので、この研究でマウス実験を行ったところ、βアミロイドによってマウスの多発性硬化症(厳密には、ヒトの多発性硬化症に相当する神経変性疾患)の症状が逆転しました。

そして今回の2つ目の研究で、アミロイドを形成するタンパク質(βアミロイドや、タウ、プリオンなど)の六量体を多発性硬化症のマウスに少量用いたところ、これまで神経に害があると考えられてきたフィブリル(アミロイドを形成する不溶性の繊維)が形成されたものの、マウスの多発性硬化症が速やかに軽減されました。 そして、この治療をストップすると、数日後には多発性硬化症の症状が戻ってきました。

さらに、この六量体を、三名の多発性硬化症患者の血清と混ぜたところ、フィブリルが血清中の有害な分子と結合し、これを除去しました。
「少なくとも特定の状況下では、アミロイド・ペプチドが脳にとって有益であるわけことが明らかになりつつあります。 これは、従来の「アミロイドは悪者だ」という説を覆す発見です。 多発性硬化症や、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性や疾患に関する基本的な認識が大きく変わることでしょう」
過去の研究にも、多発性硬化症のマウスにおいて、アミロイドを形成するタンパク質の発現を阻害したところ、多発性硬化症が改善するどころか悪化するという結果になったものがあります。