コーン油がバターよりも不健康であることを示す50年前のデータ(1/2ページ)

(2016年4月) "*The BMJ*" に掲載された米国立衛生研究所(NIH)などの研究によると、バターの代わりに植物油を使うのは心臓病予防とって逆効果かもしれません。出典: Did Butter Get a Bad Rap?

今回の研究で、50年ほども前にミネソタ大学が行った大規模な試験の未発表のデータを始めとする研究データを分析したところ、リノール酸(*)を摂取したグループは、バターなどの動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を摂取したグループに比べてコレステロールこそ減っていたものの、肝心の心臓病のリスクも死亡率も下がっていなかったのです。 ミネソタ州で行われた試験では、逆に死亡率が増加していました。
(*) コーン油・紅花油・大豆油・綿実油などに大量に含まれています。 リノール酸は多価不飽和脂肪酸の一種であるオメガ6脂肪酸です。 (参考記事: ω6脂肪酸は健康に良くない?
研究者は次のように述べています:
「重要なデータが未発表のまま放置されていたために飽和脂肪をリノール酸に置き換えることのメリットが過大評価されデメリットが過小評価されていたと言えます」
「バター ⇒ 植物油」の時代

「飽和脂肪(バターやラード)の代わりに不飽和脂肪(植物油など)を食事に用いる方が健康的である」という考えが始まったのは 1960年代のことです。 この頃から、飽和脂肪から不飽和脂肪に切り替えることでコレステロールが下がることを示す研究が発表され出したのです。

それ以降もいくつかの研究で、飽和脂肪から不飽和脂肪に切り替えることで心臓発作や心臓関連の死亡率が下がる可能性が示されてきました。 そして 2009年には米国心臓協会が、「飽和脂肪を控え目にし、リノール酸などのオメガ6脂肪酸を適度(総摂取カロリーの5~10%)に摂るのが心臓の健康にとって有益だと思われる」 という声明を発表しました。

その一方で現在に至るまで、各種の研究方法の中で最も信頼性が高いとされるランダム化比較試験では、リノール酸の使用により心臓発作のリスクや心臓発作による死亡のリスクが下がることは示されていません。

ミネソタ大学の研究

ミネソタ大学は 1968~1973年にかけて "Minnesota Coronary Experiment(MCE)" という研究を行いました。 MCEの被験者数 9,423人で、この被験者たちは州立の6つの精神病院および介護施設に住んでいる人たちでした。

MCEの分析結果が医学専門誌に発表されたのは 1989年になってからのことで、その際の論文において研究チームは「バターなどの飽和脂肪からコーン油に切り替えることでコレステロール値が下がったが心臓発作発生件数・心臓発作による死亡数・総死亡数(死因を問わない死亡の数)に違いは見られなかった」と報告しています。