抗菌製品による環境汚染

(2013年2月) アリゾナ大学の研究チームが、抗菌作用のあるハンドソープ(いわゆる薬用ハンドソープ)などの使用が増えたために、化学物質で河川や湖沼が汚染されている可能性を明らかにしました。

現在市販されている抗菌製品は何百種類にも及びますが、その多くは非抗菌製品と比較して有効であることが実証されていません。 その一方で、抗菌製品に用いられる化学物質は、家庭などから下水へ流れ、下水から下水処理場、そして最終的には河川に行き着きます。

研究の概要

複数の下水処理場の上流と下流の12の河川の沈殿物を分析し、抗菌セッケンの有効成分であるトリクロサンとトリクロカルバンの有無を調べたところ、トリクロカルバンがトリクロサンの3~58倍も集積していました。

トリクロバルカンはトリクロサンほどには監視の対象となりませんが、いずれの物質も、米国の米国食品医薬局(FDA)と環境保護局により環境と人体への悪影響が懸念されています。

トリクロサンもトリクロカルバンも何十年も環境中に残留する物質で、米国では環境や飲用水から検出されることの多い物質の上位10位に入っています。

コメント
研究者は次のように述べています:
「この研究により、抗菌製品に添加されている化学物質による淡水環境汚染の様子がはっきりしました。 環境中に放出されるトリクロサンとトリクロカルバンの量が多すぎて、自然分解が追いついていないこともわかりました」

「抗菌剤として用いられる化学物質が自然環境中に広く存在するというのは、環境の問題だけではありません。 効果もはっきりしないのに抗菌製品を使うというのは、病原体に耐性を獲得させてやるようなものです。

FDAも 2005年に 『抗菌成分の入ったハンドソープなどは(入院患者などではない)普通の消費者にとっては健康上の効果がはっきりしておらず、普通のセッケンや水と効果が変わらない』 と言っていますし、消費者は抗菌製品の使用を控えるのが良いと思います」