抗生物質で自閉症の症状が改善(後半)

自閉症の治療法としての抗生物質
Rodakis氏によると、子供の自閉症の症状改善を目的として親が抗生物質を投与するというケースはけっこうありますが、抗生物質の投与による自閉症症状の変化のパターンには次のようなものがあります:
  • 抗生物質の投与によって症状が改善したというケース
  • 抗生物質の投与によって症状が悪化したというケース
  • 抗生物質を繰り返し、あるいは長期的に投与してようやく症状が改善したというケース

抗生物質の投与を中止すると自閉症の症状が元に戻ったり、症状の改善がストップすることが報告されています。(今回のケースで10日間の服用期間の後にどうなったかは不明です)

抗生物質が自閉症の症状にもたらす影響を調べた臨床試験としては Chicago Rush Children’s hospital が行ったものがあります。 この試験では、重度の自閉症児10人にバンコマイシンという抗生物質を投与しました。 バンコマイシンは(注射などではなく)経口服用しても吸収されにくい(そのため腸まで届くということでしょう)薬です。

試験の結果、10人中8人で自閉症の症状が顕著に改善しました。 研究チームは抗生物質によって腸内細菌叢に変化が生じたために自閉症が改善したのではないかと推測しています。

ただし Rodakis氏は、抗生物質を自閉症治療に用いるのではなく、自閉症の治療方法の研究に用いることを考えています。

抗生物質が自閉症に効果を発揮するメカニズム

抗生物質によって自閉症の症状が改善される理由は不明ですが、抗生物質が腸内細菌に影響を与えたために自閉症の症状が改善した可能性があります。

ただし、自閉症の原因となる悪い腸内細菌がいて、それが抗生物質によって退治されるというような話ではないようです。 アリゾナ州立大学の研究では、自閉症児は普通の子供に比べて腸内細菌の多様性が劣っていることが示されています。

California Institute of Technology が行ったマウス実験では、抗性物質の投与ではなく腸内細菌の移植によって腸内細菌叢を改善することで自閉症が緩和される可能性が示されています。