抗生物質の副作用は酸化ストレスが原因(対策あり)

(2013年7月) ハーバード大学の研究グループが、抗生物質による長期的な治療により副作用が生じることを明らかにし、その副作用を回避するための簡易な方法も見つけました。

抗性物質にも副作用

抗生物質は細菌だけをやっつけて、人体の組織には害を与えないと考えられがちですが、抗生物質によっても、腱炎や、内耳の疾患、聴力低下、下痢、腎機能の低下などの副作用が生じることが報告されています。

副作用の原因は酸化ストレス?

研究グループは、これらの副作用の原因が抗生物質による酸化ストレスではないかと考えました。抗生物質によって人体のミトコンドリアに酸化ストレスが生じ、それが副作用の原因となっている可能性があったのです。 この研究グループの過去の研究によると、細菌を殺す効果を持つ抗生物質は、細菌に酸化ストレスを引き起こすことで殺菌作用を得ます。

酸化ストレスが原因であることを確認

そこで研究グループは、シプロフロキサシン、アンピシリン、カナマイシンという3種類の抗生物質がいずれも臨床量で、培養したヒト細胞において酸化ストレスを生じるかどうかを調べました。 その結果、6時間の治療(処置?)では問題は生じませんでしたが、4日間ほどの治療ではミトコンドリアが機能不全を起こしました。

そして、複数の生化学検査を行った結果、これら3種類の抗生物質がいずれもヒト細胞のDNA・脂質・タンパク質に損傷を与えていたことが明らかになりました。 このような損傷は、酸化ストレスによるものと考えられます。

研究グループはさらに、マウス実験を行って、これら3種類の抗生物質によりマウスの脂質が損傷を受け、およびグルタチオン(体内で作られる抗酸化物質)の量が減少することを確認しました。 グルタチオンの減少も酸化ストレスの兆候です。

酸化ストレス対策

研究グループによると、抗生物質の酸化ストレスによる副作用を防止するには、テトラサイクリンなどの静菌性(⇔殺菌性)の抗生物質を用いることができます。 静菌性の抗生物質は、細菌を殺すのではなく細菌の分裂を抑止します。

また、抗生物質による酸化ストレスを緩和するには、抗酸化物質である N-アセチルシステイン(NAC)が有効です。 NAC は、嚢胞性繊維症の小児患者用に米国食品医薬局(FDA)が認可済みです。

研究者は次のように述べています:
「臨床量の抗生物質により酸化ストレスが生じ、それによってヒト細胞のDNA・脂質・タンパク質が傷つきます。 しかし、抗酸化物質によって損傷を軽減することが可能です」
ただし研究グループは、医師に対しては本当に必要なときにのみ抗生物質を処方すること、そして患者に対しては深刻な細菌感染症があるときにのみ抗生物質を要求することを求めています。