抗生物質で2型糖尿病のリスクが増加?

(2015年8月) "Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism" に掲載されたデンマークの研究で、2型糖尿病患者には発症の数年前(最長で発症の15年前)から抗生物質を服用していた人の多いことが明らかになりました。出典: Antibiotic Use Linked to Type 2 Diabetes Diagnosis

研究の方法

約17万人の2型糖尿病患者と約130万人の健常者とで抗生物質の使用状況を比較しました。

結果

抗生物質の年間処方量の平均が健常者では0.5回分だったのに対して、2型糖尿病患者で0.8回分でした。 抗生物質の処方量が多いと2型糖尿病と診断される率が増加していました。

糖尿病リスクとの関係が認められた抗生物質の種類は多数でしたが、糖尿病リスクの増加が顕著だったのはペニシリンVなどのナロー・スペクトラム(対象とする細菌の種類が少ない)の抗生物質でした。

解説

抗生物質を用いた治療により腸内細菌叢に変化が生じることがあります。 また、一部の腸内細菌が糖尿病患者に見られる糖代謝障害の一因となる可能性が複数の研究で指摘されています。 このような理由で、抗生物質を使うことが多い人で2型糖尿病のリスクが増加しているのかもしれません。

ただし、抗生物質が2型糖尿病のリスク増加の原因になると決まったわけでもありません。 研究者は次のように述べています:
「抗生物質により2型糖尿病のリスクが増加するという可能性のほかに、糖尿病を発症しつつある期間中に感染症のリスクが増加している(そのために抗生物質を使用することが増える)という可能性も十分に考えられます」