抗鬱剤で自殺のリスクが減るどころか増える?

(2016年5月) "Psychotherapy and Psychosomatics" 誌に掲載されたメタ分析で、抗鬱剤により自殺のリスクが減るどころか増加するかもしれないという結果になりました。

研究の方法

3ヶ月以上にわたり抗鬱剤を飲んだ場合とプラシーボを飲んだ場合とで自殺または自殺未遂の発生率を比較した29の試験のデータ(患者数合計 5,529人)を分析しました。

結果
試験期間中に発生した自殺8件のうち7件、そして自殺未遂14件のうち13件が抗鬱剤を服用中のグループで生じるというショッキングな結果でした。

ただし、発生率比(incidence rate ratio)は、自殺が 5.03 (0.78-114.1; p = 0.102) で、自殺未遂が 9.02 (1.58-193.6; p = 0.007) というものでした。

そして、自殺と自殺未遂の過半数が1つの試験(データも大きくてメタ分析全体の1/5を占める)に集中しており、その試験を除外すると自殺未遂の発生比率の統計学的な有意性も失われました〔3.83 (0.53-91.01)〕。

Peto オッズ比は、自殺が 2.6 (0.6-11.2; 有意ではない)で、自殺未遂が 3.4 (1.1-11.0; p = 0.04) というものでした。
結論
研究チームは次のように述べています:
「今回の研究から 『抗鬱剤により自殺や自殺未遂のリスクが増加する』 と確定的に結論付けることは(統計学的に問題があるので)できないが、医師が抗鬱剤を処方する際には 『抗鬱剤で自殺や自殺未遂を防げる』 とするデータが欠如していることを考慮する必要があるとは言える」